施工管理に必要なものとは?学歴や経験よりも重要な現場でのスキル
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施工管理に必要なものとは?学歴や経験よりも重要な現場でのスキル

2020年11月13日

建築や土木といった工事現場では、施工管理技士の存在が非常に重要になります。現場の進捗状況は、施工管理技士の指示や行動によって大きく影響されます。
また、施工管理技士の仕事内容は多岐にわたるため、学歴や経験以外にもさまざまなスキルを磨いていく必要があります。

そこで本記事では、施工管理技士の業務内容と、施工管理に必要なスキルについて具体的に解説していきます。

 


 

基本的な施工管理の5大管理

ここでは、施工管理が担う重要な管理業務5つについて簡潔に解説していきます。

 

1:工程表作成や工期の調整を行う「工程管理」

工程管理とは、工事前に作成された工程表をもとに、人員配置や必要な重機、建材の手配などを行って工期を遵守する業務を指します。
施工管理は、状況に応じて作業手順や段取りを調整して期限通りに工事を完成させなければなりません。そのためには常に現場の状況を把握し、細かく工程表と照らし合わせてチェックする必要があります。

 

2:建物の工事にかかる予算の把握を行う「原価管理」

施工管理は、決められた予算を把握して、人件費や材料費などの原価を管理して利益を出さなくてはなりません。無駄を省きつつも適正な利益を出して、予定通りの予算内で工事を完成させることが重要になります。
原価管理を徹底して自社の売上に貢献することも施工管理の重要な業務です。

 

3:建設物の品質や安全性の確認を行う「品質管理」

設計図書や仕様書通りに工事が行われているかを確認することも施工管理の仕事です。
使用される材料や建材が適正に使用されているか、また、品質テストを通して長期的に高品質が確保できるかなどを確認することも業務のひとつになります。

 

4:作業の安全対策と現場の啓発運動を行う「安全管理」

工事現場は常に危険と隣り合わせです。現場内の危険除去や危険箇所の改善を行い、安全管理を徹底するのも施工管理の仕事です。
また、作業員の意識の向上や啓発活動を行い、現場内でのけがや事故を防止していくことも重要な業務になります。

 

5:自然と周辺環境、そして作業環境を整える「環境管理」

工事現場によっては、自然や地域に多大な被害を与える可能性があります。施工管理は工事によって起こる問題を把握して、周辺の環境に悪影響を与えない措置を取らなければなりません。
また、働きやすい環境づくりや円滑なコミュニケーションの構築も施工管理の重要な業務のひとつになります。

 

その他の施工管理技士の業務

5大管理業務以外にも、施工管理が担う重要な業務があります。業務内容は主に下記の通りです。

 

申請手続きや書類作成などの事務的な業務

施工管理は工事を行うために役所や関係各所に提出する書類作成なども行います。その他にも、作業で必要となった資材などを購入したときの領収書の管理や、下請け業者や専門職の作業日報の取りまとめ、報告書の管理など、デスクワーク業務も施工管理の仕事です。

 

値段交渉などの営業的な業務

施工管理は、時に営業的な役割を担う場合があります。現場の状況を詳しく把握している施工管理だからこそ、元請けや下請けとの値段交渉や資材購入費などの相談も業務のひとつとして担います。

 

会議や安全講習開催運営の総務的な業務

現場内では定期的に工事に関する企業や業者が集まり、工程表通りに工事が進んでいるかなどを確認する会議が開かれます。また、現場で発生する小さな問題やトラブルを見つけて未然に防止するといった意味合いもあります。
このような現場内で会議が行われる際の関係者への連絡や会議資料の準備なども施工管理が行います。

 

持っておいた方が良い施工管理に役立つスキル

施工管理の仕事は、現場管理だけでなく事務的なデスクワークなどの業務も数多くあります。多くの業務を処理するために、施工管理が持っておいた方が良いスキルをご紹介します。

 

WordやExcelの基本的なスキル

業界や職種、仕事内容に関係なく必要となるのはWordやExcelのスキルです。
建設業界においても、Excelでの工程表や原価管理表の作成、Wordでの作業手順書や関係書類の作成などの業務があり、その分野に特化したソフトを使用し見やすくわかりやすい書類を作ることは重要なスキルとなるため、ぜひ身につけておくと良いでしょう。

 

CADのスキル

CADとは、パソコンを利用して設計や図面制作を行うソフトです。
設計事務所や元請けから送られてくる図面はほぼすべてCADを利用したデータ図面であるため、CADのスキルを習得しておくことで施工管理の業務にも非常に役立つと言えるでしょう。
基本的には図面通りに工事は行われますが、周辺環境の状況によってどうしても施工が不可能という場合が多々発生します。その際は設計者に図面の変更を依頼する必要がありますが、設計者は現場の状況を細かく把握している訳ではないため、施工管理者が修正案の図面をCADで作って提案し、それをもとに再度図面を書き直してもらうと効率よく業務を進めることができます。
このように、CADのスキルを習得しておくことで現場管理以外の部分でも業務効率化を図ることができるため、ぜひ習得しておくことをおすすめします。

 

コミュニケーションアプリの利用スキル

近年は新型コロナウイルスの影響で会議や面談は制限されているため、直接の相談や会議は困難な状況です。
そこで、パソコンやスマホなどの端末で連絡アプリを利用すれば、関係者への連絡や周知も迅速に対応することができます。
また、オンラインでの会議が可能なビデオ会議サービスを利用することで、事務所や会議室に直接出向かなくても会議を行うことができます。
今後もコミュニケーションアプリの利用拡大が見込まれるため、抵抗なくアプリやツールを利用できるようにしておくと良いでしょう。

 

施工管理に最も必要なスキルとは

これまで、施工管理に必要なさまざまなスキルをご紹介してきましたが、中でも特に必要とされる2つのスキルをご紹介します。

 

コミュニケーション能力

工事現場では多くの関係者が働いており、それぞれの業務を同時進行で行うため、各作業者とのやりとりや調整が必要になります。スムーズな現場運営をするためには素早い段取りや問題解決が必要となりますが、それには多くの関係者の協力が必要です。
このように、施工管理者は工期通りに現場を進行させるため多くの関係者からの協力を得なければなりません。
リーダー的存在として現場をまとめるには、常日頃から良好な関係を築くためのコミュニケーション能力が必要不可欠になるのです。

 

マネジメント能力

常に動いている工事現場では、作業の段取りが変わるとそれに伴い作業員や職人の入れ替えが発生します。そのため、施工管理はその都度安全教育や必要資材の説明などの業務を行う必要があります。
また、常に工程表を確認し、間違いのない作業環境を整えることは施工管理の責務であり、高いマネジメント能力を必要とします。そのためには、じっくりと状況を把握した上で、どこにどんな人材を充てて、どういった準備を行えばよいかを考える能力が必要となります。

 

まとめ

施工管理の業務を把握することで、施工管理に必要なスキルとは何なのかを知ることができたのではないでしょうか。
上記で説明したスキルは、現在施工管理として働いている方もこれから施工管理を目指す方も必ず必要となるので、ぜひ習得しておくと良いでしょう。
また、施工管理の業務は幅広いため、知識や経験だけでは解決できないことが多くあります。一緒に働く職人や作業員の方々と日頃から良好な関係を築いておくことで、施工管理者としての経験値やスキルも高めることができるでしょう。

 

 


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