2020年11月2日
建築施工管理技士は、工事現場の施工計画から工程管理、品質管理、安全管理などを行うスペシャリストとして認識されている国家資格です。建物に関する工事には建築施工管理技士の資格保有者が活躍しており、資格は1級資格と2級資格に分かれています。本記事では、2級建築施工管理技士の試験内容や資格取得方法について詳しく解説していきます。
建築施工管理技士とは、建築業法第27条の2項により国土交通大臣の指定する機関が実施する国家試験を合格した者が保有する資格です。建設業や設計事務所において、現場代理人として勤務している人が取得しています。
業務内容は工事現場の施工計画や工程管理の他に、品質管理や安全管理などの業務に従事します。建築施工管理技士は1級資格と2級資格により、それぞれ管理ができる工事現場の規模や管理内容も変わります。今回ご紹介する2級建築施工管理技士は、主に中小規模の建物や一般住宅の施工管理が行える資格となっています。
建設会社が「特定建設業」や「一般建設業」の資格を得るには、施工管理の資格を有したものを在籍させなければなりません。また、重要性の高い公共工事などでは、建築施工管理技士を専任管理技術者として置く必要があります。
また、工事を請け負うための入札資格を得るために必要な経営事項審査に、施工管理技士 の有資格者が在籍しているかどうかで評価点が変わります。このように、施工管理技士の資格は企業にとっても極めて重要な資格になるのです。
施工管理技士には、1級と2級の2つがあります。どちらの資格保有者でも、建設現場での工程管理や品質管理、安全管理を行う業務を担いますが、1級と2級では対応できる物件の規模が異なります。
1級は最も難易度の高い資格であるため、合格すると特定建設業の「営業所ごとに置く専任の技術者」及び現場に配置する「監理技術者」として認められます。その一方で、2級建築施工管理技士の資格は監理技術者にはなれないものの、一般建設業の許可を受ける際に必要な「営業所ごとに配置する専任の技術者」及び「主任技術者」として配置が可能になります。
1級は幅広い業務が行えるため、受験をするために必要な実務経歴や学歴が厳しく設定されています。その一方で2級では受験資格の制限も緩く、経験の浅い方でも受験できるので、施工管理技士としてこれからステップアップしたい方などにオススメの資格です。
建築の仕事にはさまざまな業種があります。2級建築施工管理技士の資格試験は、建築、躯体、仕上げの3つの受験種別に分かれおり、受験には実務経験の申告が必要です。2級建築施工管理技士の試験では、受験者がこれまでにどのような建築業種に携わっていたかによって受験できる区分が別れます。また、実務経験と受験種別が一致しなければ受験できません。
学歴または技能検定合格に応じて所定の実務経験が必要となります。下表の区分イ〜ハのいずれか一つに該当する方が受検申込可能です。
※実務経験年数は、試験実施年度にてそれぞれの試験日の前日までで計算してください。
区分 | 種別 | 学歴 | 受験に必要な実務経験年数 | |
---|---|---|---|---|
指定学科卒業後 | 指定学科以外卒業後 | |||
イ | 建築 躯体 仕上げ |
大学 専門学校「高度専門士」※1 |
1年以上 | 1年6ヶ月以上 |
短期大学 5年制高等専門学校 専門学校「専門士」※1 |
2年以上 | 3年以上 | ||
高等学校 専門学校「専門課程」※2 |
3年以上 | 4年6ヶ月以上 | ||
その他 | 8年以上 |
区分 | 種別 | 職業能力開発促進法による技能検定合格者 | 受験に必要な実務経験年数 | |
---|---|---|---|---|
技能検定職種 | 級別 | |||
ロ | 躯体 | 鉄工(構造物鉄工作業)、とび、ブロック建築、型枠施工、鉄筋施工(鉄筋組立て作業)、コンクリート圧送施工 | 1級 | 問わず |
2級 | 4年以上 | |||
単一等級エーエルシーパネル施工 | - | 問わず | ||
職業訓練法施行令の一部を改正する政令(昭和60年政令第248号)による改正前の職業訓練法施行令による鉄筋組み立て | - | 問わず | ||
ハ | 仕上げ | 建築板金(内外装板金作業)、石材施工(石張り作業)、建築大工、左官、タイル張り、畳製作、防水施工、内装仕上げ施工(プラスチック系床仕上げ工事作業、カーペット系床仕上げ工事作業、鋼製下地工事作業、ボード仕上げ工事作業)、スレート施工、熱絶縁施工、カーテンウォール施工、サッシ施工、ガラス施工、表装(壁装作業)、塗装(建築塗装作業) | 1級 | 問わず |
2級 | 4年以上 | |||
単一等級れんが積み | - | 問わず | ||
職業能力開発促進法施行令及び地方公共団体手数料令の一部を改正する政令(昭和61年政令第19号)による改正前の職業能力開発促進法施行令による石工(石張り施工)、床仕上げ施工、天井仕上げ施工 | - | 問わず |
※平成15年度以前に技能検定に合格した者については実務経験を問いません。
試験実施年度において満17歳以上となる方(令和5年度の場合は生年月日が平成19年4月1日以前の方が対象です。)
次にあげる[1]〜[3]のいずれかに該当し「第一次・第二次検定(同日受検)」の受検資格を有する方は、第二次検定のみ受検申込が可能です。
[1] | 建築士法による一級建築士試験の合格者 |
---|---|
[2] | (令和2年度までの)2級建築施工管理技術検定試験の「学科試験のみ」受検の合格者で有効期間内※1の者 |
[3] | (令和3年度以降の)2級建築施工管理技術検定の「第一次検定」合格者 |
※1 学科試験の合格通知書に記載されている有効期間内で連続する2回の試験を第二次検定のみ受検とすることができます。ただし、合格年度によって受検種別などの条件が異なります。詳しくは「受検の手引」P3.1をご確認ください。
2級建築施工管理技士の試験内容は、「第1次検定」と「第2次検定」に分かれています。
四肢一択式・二択式:2時間30分
第1次検定は、マークシート方式の共通問題です。建築学等、施工管理法、法規について出題されます。
四肢一択式・記述式:2時間
第2次検定はマークシート式と記述式です。施工管理法(種別:建築)、躯体施工管理法(種別:躯体)、仕上施工管理法(種別:仕上げ)について出題されます。
令和4年度に行われた2級建築施工管理技術検定の合格率は、第1次検定が前期50.7%・後期42.3%、第2次検定が53.1%です。やや難易度が高いこともあるようですが、約半数が合格しているため、隅々までしっかりと勉強できていれば対応できるでしょう。
2級建築施工管理技士の令和5年度試験日程は、下記の通りになります。
令和5年1月27日(金)~2月10日(金)
※第1次検定のみの方は書面申込のみ受付
※書面申込は令和5年2月10日(金)消印有効
※インターネット申込は不可
令和5年6月11日(日)
札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・沖縄
※近隣都市に試験会場を設定する場合があります。
令和5年7月14日(金)
インターネット申込(再受検のみ):令和5年6月30日(金)9:00 ~ 7月28日(金)23:59
書面申込:令和5年7月14日(金)~ 7月28日(金)消印有効
令和5年11月12日(日)
札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・沖縄
※近隣都市に試験会場を設定する場合があります。
※学生の方で第1次検定のみ、かつ学校申込をされる場合は、帯広・盛岡・秋田・長野・出雲・倉敷・高知・長崎でも受けられます。
第1次検定:令和5年12月22日(金)
第2次検定:令和6年2月2日(金)
2級建築施工管理技士の資格は、建築工事に携わる者が管理者として就業するために必要な国家資格です。また、学歴や建築職種に関わらず、一定の実務経験があれば受験できるのも特徴の1つと言えます。
建築に関する幅広い知識と高い倫理感を求められるため試験の難易度は年々高くなっていますが、資格を取得する事によって現場の頼れる存在として活躍する事ができるでしょう。