2020年10月22日
2級管工事施工管理技士は、国土交通省が管轄する国家資格の内のひとつです。管工事とは、冷暖房や空調設備工事、給排水工事、給湯設備工事、ダクト工事、浄化槽工事、ガス配管工事といった、生活に密接した設備の設置や配管工事がメインとなる仕事です。
本記事では、配管工事のスペシャリストとして活躍できる2級管工事施工管理技士について、資格の基礎知識から受験資格の条件や試験内容、さらに資格取得方法について詳しく解説していきます。
建物内で快適に生活や活動をするためには、多くの設備が必要です。設備には用途に応じてさまざまなパイプやダクトが必要とされ、建物が大きくなるほど複雑な管工事の施工を行わなくてはなりません。
管工事施工管理技士は、管工事における専門的な知識を活かし、複雑な施工計画から工事の工程管理を行います。さらに、施工した工事が正確で高品質な状態を維持できるかなどを確認する品質管理や、ケガや事故が無いように現場作業員への注意喚起や安全対策を行う安全管理なども担います。
2級管工事施工管理技士の資格保有者は、建設業法における一般建設業の許可を受けた事業所の「専任技術者」や工事現場での「主任技術者」として従事することができます。一般建設業の許可区分で建設業を営む事業者は、軽微な工事を請け負って営業する場合を除き、元請けや下請けに関わらず一般建設業の許可を受けなければなりません。そのためには、各営業所に専任技術者として従事できる施工管理技士を置く必要があります。
他にも、2級管工事施工管理技士の資格保有者を事業所に置くことで、事業所の経営事項審査において技術力を証明する事ができ、工事入札を行う際の入札資格にも影響します。したがって2級管工事施工管理技士の資格保有者は、管工事を行う建設会社にとって極めて重要な人材と言えるでしょう。
四肢択一式:2時間10分
・機械工学等:管工事の施工に必要な機械工学、衛生工学、電気工学および建築学に関する概略の知識を有すること。
冷暖房、空気調和、給排水、衛生等の設備に関する概略の知識を有すること。設計図書を正確に読み取るための知識を有すること。
・施工管理法:管工事の施工計画の作成方法等および工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工の管理方法に関する概略の知識を有すること。
・法規:建設工事の施工に必要な法令に関する概略の知識を有すること。
記述式:2時間
施工管理法:設計図書で要求される設備の性能を確保するために設計図書を正確に理解し、設備の施工図を適正に作成し、および必要な機材の選定、配置等を適切に行うことができる一応の応用能力を有すること。
2級管工事施工管理技士の受験資格は次の通りです。
試験実施年度において満17歳以上となる方(令和3年度の場合は生年月日が平成17年4月1日以前の方が対象です。)
※実務経験年数は、試験実施年度にてそれぞれの試験日の前日までで計算してください。
学歴 | 受験に必要な実務経験年数 | |
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指定学科卒業後 | 指定学科以外卒業後 | |
大学 専門学校「高度専門士」 |
1年以上 | 1年6ヶ月以上 |
短期大学 高等専門学校 専門学校「専門士」 |
2年以上 | 3年以上 |
高等学校 中学教育学校 専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く) |
3年以上 | 4年6ヶ月以上 |
その他 | 8年以上 | |
(1) | 前年度2級管工事施工管理技術検定・学科試験に合格し、実地試験が不合格又は欠席をした者 |
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(2) | 技術士法第4条第1項の規定による第二次試験のうち、技術部門を機械部門(選択科目を「流体工学」又は「熱工学」とするものに限る)、上下水道部門、衛生工学部門又は総合技術監理部門(選択科目を「流体工学」、「熱工学」又は上下水道部門若しくは衛生工学部門に係るものとするものに限る)とするものに合格した者※1で、受験する2級管工事施工管理技術検定(学科・実地試験)の受験資格を有する者 |
(3) | 学校教育法による大学を卒業した者で在学中に施工技術検定規則(以下「規則」という)第2条に定める学科を修め、かつ卒業後1年以内に平成28年度までの2級管工事施工管理技術検定の学科試験に合格(在学中の合格も含む)し、卒業した後4年以内に行われる連続する2回の2級管工事施工管理技術検定・実地試験を受験しようとする者で管工事施工管理に関し1年以上の実務経験を有する者 |
(4) | 学校教育法による短期大学又は高等専門学校を卒業した者で在学中に規則第2条に定める学科を修め、かつ、卒業後2年以内に平成28年度までの2級管工事施工管理技術検定の学科試験に合格(在学中の合格も含む)し、卒業した後5年以内に行われる連続する2回の2級管工事施工管理技術検定・実地試験を受験しようとする者で管工事施工管理に関し2年以上の実務経験を有する者 |
(5) | 学校教育法による短期大学又は高等専門学校を卒業した者で、平成28年度までの2級管工事施工管理技術検定の学科試験に合格(在学中の合格も含む)した後、学校教育法による大学を卒業(短期大学又は高等専門学校在学中及び大学在学中に規則第2条に定める学科を修めたものに限る)し、短期大学又は高等専門学校を卒業した後6年以内に行われる連続する2回の2級管工事施工管理技術検定・実地試験を受験しようとする者で管工事施工管理に関し1年以上の実務経験を有する者 |
(6) | 学校教育法による高等学校又は中等教育学校を卒業した者で在学中に規則第2条に定める学科を修め、かつ、卒業後3年以内に平成28年度までの2級管工事施工管理技術検定の学科試験に合格(在学中の合格も含む)し、卒業した後6年以内に行われる連続する2回の2級管工事施工管理技術検定・実地試験を受験しようとする者で管工事施工管理に関し3年以上の実務経験を有する者 |
(7) | 学校教育法による高等学校又は中等教育学校を卒業した者で、平成28年度までの2級管工事施工管理技術検定の学科試験に合格(在学中の合格も含む)した後、学校教育法による短期大学又は高等専門学校を卒業(高等学校又は中等教育学校在学中及び短期大学又は高等専門学校在学中に規則第2条に定める学科を修めたものに限る)し、高等学校又は中等教育学校を卒業した後7年以内に行われる連続する2回の2級管工事施工管理技術検定・実地試験を受験しようとする者で管工事施工管理に関し2年以上の実務経験を有する者 |
(8) | 学校教育法による高等学校又は中等教育学校を卒業した者で、平成28年度までの2級管工事施工管理技術検定の学科試験に合格(在学中の合格も含む)した後、学校教育法による大学を卒業(高等学校又は中等教育学校在学中及び大学在学中に規則第2条に定める学科を修めたものに限る)し、高等学校又は中等教育学校を卒業した後8年以内に行われる連続する2回の2級管工事施工管理技術検定・実地試験を受験しようとする者で管工事施工管理に関し1年以上の実務経験を有する者 |
※1:技術士法施行規則の一部を改正する省令(平成15年文部科学省令第36号)による改正前の第二次試験のうち、技術部門を機械部門(選択科目を「流体機械」又は「暖冷房及び冷凍機械」に係るものとするものに限る)、水道部門、衛生工学部門又は総合技術監理部門(選択科目を「流体機械」、「暖冷房及び冷凍機械」又は水道部門若しくは衛生工学部門とするものに限る)とするものに合格した者を含む
受験資格となる管工事施工管理の実務経験は、管工事の施工に直接的に関わる技術上全ての職務経験のことを言います。具体的には次の3つが実務経験に当てはまります。
①受注者(請負人)として施工を指揮・監督(工程管理、品質管理、安全管理等含む)した経験(施工図の作成や補助者としての経験も含む)
②発注者側における現場監督技術者等としての経験(補助者としての経験も含む)
③設計者等による工事監理の経験(補助者としての経験も含む)
引用元:日本建設情報センター 受験資格
なお、研究所・学校、訓練所等における研究、教育および指導業務、設計業務、保守・点検業務などは実務経験年数として認められません。
2級管工事施工管理技士の合格率は、平成25年から平成29年までの第1次検定の平均が58.6%で、他の施工管理技士の資格より高い合格率となっています。一方で第2次検定の平均は41.1%で、第1次検定に比べると毎年20%ほどの差があります。第2次検定は記述式なので、自身の管工事施工管理経験を簡潔に文章で伝えなくてはならないため、文章の表現方法や記入する数値の正確さなどが求められます。
また、出題内容も毎年違う内容になるため、過去問や参考書などの模範解答を熟読し、自分の経験と模範解答を重ね合わせて記述解答の練習をすると良いでしょう。
令和3年度の2級管工事施工管理技士の試験日程は下記の通りになります。
令和5年3月1日(水)~令和5年3月15日(水)
令和5年6月4日(日)
令和5年7月4日(火)
令和5年3月1日(水)~令和5年3月15日(水)
令和5年11月19日(日)
・第1次検定のみ:令和6年1月5日(金)
・第1次・第2次検定、第2次検定のみ:令和6年3月6日(水)
2級管工事施工管理技士は、管工事に関する仕事をしている方が管工事のスペシャリストとして活躍するために必要な国家資格です。合格率は高めですが、簡単に受かるような試験ではありません。学科試験では過去問を繰り返し解くことがポイントであり、実地試験では自分の経験と模範解答を重ね合わせて記述解答の練習をすることが重要になります。自身のスキルアップのためにもぜひチャレンジしてみてください。