【2023年版】1級電気通信工事施工管理技士とは?試験内容や取得方法を解説
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【2023年版】1級電気通信工事施工管理技士とは?試験内容や取得方法を解説

2020年6月9日

1級電気通信工事施工管理技士の令和元年度における学科試験合格率は43.1%、また、実地試験合格率は49.5%となっており、初回の試験にも関わらず多くの方が合格しています。
しかし、新設されたばかりで情報が少ないため、受験を躊躇している方も多いのではないでしょうか。まずは、受験申込方法や試験内容がどのようになっているか確認してみましょう。

 

1級電気通信工事施工管理技士の受験申込み

試験を受けるためには、当然、受験の申込みが必要になりますが、意外と手間がかかります。受付終了の間際になって慌てないよう、余裕を持って準備しておきましょう。

受験申込書の販売時期・申込み受付期間

1級電気通信工事施工管理技士の受験申込書は、例年4月の第2月曜日が販売開始日となっています。

【受験申込書の販売開始日】

令和5年4月10日(月)

【受験申込みの受付期間】

書面申込:令和5年5月8日(月)~5月22日(月)
インターネット申込:令和5年5月8日(月)~5月22日(月)

 

受験申込書の種類と価格

1級電気通信工事施工管理技士の受験申込書には、「学科・実地」と「実地」の2種類があり、1部600円で販売されています。
実地のみで受験する学科試験免除者が、間違って「学科・実地」の用紙で申込みを行った場合は、後から「実地」に変更することはできません。しっかりと確認してから購入しましょう。

 

受験申込書の購入方法

1級電気通信工事施工管理技士の受験申込書は、4つの方法で購入することができます。

① 全国建設研修センターのホームページで購入する
購入代金は「コンビニ」、「クレジットカード」、「代金引換」のいずれかで支払うことができますが、支払い方法ごとに送料や手数料、購入期間などは異なるので注意しましょう。

 

② 電話をして購入する
注文専用ダイヤル0570-020-700に電話をかけて購入します。受付は9:00~17:00(土・日・祝日も対応)、支払いは「代金引換」のみとなります。

 

③ 窓口で購入する
全国建設研修センターのほか、全国に49ヶ所ある窓口で購入することができます。

 

④ 現金書留を送付して購入する
現金書留郵便に必要事項を記載した用紙と購入代金+送料を同封のうえ、全国建設研修センター及び全国の地域づくり協会などへ郵送します。

 

受験手数料

学科試験、実地試験ともに13,000円(消費税非課税)になります。なお、決められた期限内に受験の取り消しを行った場合は、郵便料と為替発行料を差し引いた金額が返還されます。

 

受験申込時に必要となる添付物

証明写真や住民票のほか、卒業証明書、検定合格証明書(写)、主任技術者として従事したことが確認できる書類など、受験資格に応じた証明書類も必要です。

 

受験申込書の受付期間

1級電気通信工事施工管理技士の受験申込み期間は、例年5月7日~5月21日となっています。ただし、受付開始日が土曜・日曜の場合は、この限りではないため注意してください。

※受験申込みの受付期間
令和元年度は令和元年5月7日(火)~5月21日(火)
令和2年度は令和2年5月7日(木)~5月21日(木)

 

試験場所

1級電気通信工事施工管理技士の試験は、札幌、仙台、東京、新潟、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、熊本、那覇の12地区で開催されています。
学科と実地の試験地は同じになりますが、臨時開催地区となっている金沢と熊本を選択した場合は、実地試験はそれぞれ新潟と福岡で受験することになります。

 

1級電気通信工事施工管理技士の受験資格

以下のいずれかに該当する人物が受験資格者になります。なお、いずれの場合であっても、実務経験年数のうち、指導監督的実務経験が1年以上あることが条件です。
実務経験の年数については、申請年の5月末日で計算します。ただし、学科試験前日までの実務経験を加算すると受験資格を満たす場合は、見込期間を算入することで申込みができます。
ただし、指導監督的実務経験の見込期間については、受験申込時点で契約及び特定しているものに限ります。また、2級合格後の実務経験は、合格日の発表から算定することが可能です。

学歴

学歴 受験に必要な実務経験年数
指定学科卒業後 指定学科以外卒業後
大学
専門学校「高度専門士」
3年以上 4年6ヶ月以上
短期大学
高等専門学校
専門学校「専門士」
5年以上 7年6ヶ月以上
高等学校
中学教育学校
専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く)
10年以上 11年6ヶ月以上
その他 15年以上

 

2級電気通信工事施工管理技術検定の合格者

区分 学歴 受験に必要な実務経験年数
指定学科卒業後 指定学科以外卒業後
2級合格後の実務経験 5年以上
2級合格後5年未満の者 高等学校
中学教育学校
専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く)
9年以上 10年6ヶ月以上
その他 14年以上

 

電気通信主任技術者の資格保持者

・電気通信主任技術者の資格者証を保持し、同種目で実務経験が6年以上ある者
※実務経験年数は資格者証取得後の年数ではなく通算の年数

 

専任の主任技術者の実務経験が1年以上ある者

区分 学歴 受験に必要な実務経験年数
指定学科卒業後 指定学科以外卒業後
2級合格後の実務経験 3年以上
2級合格後3年未満の者 短期大学
高等専門学校
専門学校「専門士」
7年以上
高等学校
中学教育学校
専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く)
7年以上 8年6ヶ月以上
その他 12年以上
2級資格のない者 高等学校
中学教育学校
専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く)
8年以上 9年6ヶ月以上
その他 13年以上

 

指導監督的実務経験年数が1年以上、主任技術者の資格要件成立後専任の監理技術者の指導のもと実務経験が2年以上ある者

区分 学歴 受験に必要な実務経験年数
指定学科卒業後 指定学科以外卒業後
2級合格後の実務経験 3年以上
2級資格のない者 高等学校
中学教育学校
専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く)
8年以上

 

1級電気通信工事施工管理技士の試験内容

第一次検定の問題は、90問中60問を選択し解答はマークシートで行います。また、第二次検定の問題は、6問全てが記述式解答となっています。
合格基準を満たすためには、第一次・第二次ともに60%以上の正解が必要です。ただし、合格基準は試験の実施状況などにより変更する可能性があります。

第一次検定

1級電気通信工事施工管理技士の第一次検定では、下記の科目について、電気通信工事の施工に必要な一般的な知識が問われます。

【電気通信工学等】

  • 電気通信工学(電気理論、通信工学、電子工学、情報工学)
  • 電気通信設備(有線・無線電気通信設備、ネットワーク設備、情報設備、放送機械設備)
  • 関連分野(電気設備、機械設備、土木・建築、設計・契約)

【法規】

  • 建設業法
  • 労働基準法、労働安全衛生法
  • 道路法、道路交通法、河川法
  • 電気通信事業、有線電気通信法、電波法、放送法
  • その他関連法規

【施工管理法】

  • 施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理等の施工管理全般

 
なお、令和元年度における第一次検定の内容は以下の通りです。
<午前の部(問題A)>
電気通信理論:16問のうち11問を選択 → 出題比率18.3%
電気通信設備:28問のうち14問を選択 → 出題比率23.3%
法規:14問のうち 8問を選択 → 出題比率13.3%

<午後の部(問題B)>
設計:2問の必須問題 → 出題比率3.3%
関連分野:8問のうち 5問を選択 → 出題比率8.3%
施工管理法:22問のうち20問を選択 → 出題比率33.3%

 

第二次検定

1級電気通信工事施工管理技士の第二次検定では、下記の項目について施工管理に係わる高度な応用力が問われます。

  • 電気通信設備の性能を確保するために設計図書を正確に理解しているか
  • 電気通信設備の施工図を適正に作成できるか
  • 必要な機材の選定及び配置などを適切に行うことができるか

 
なお、令和元年度における第二次検定の内容は以下の通りです。
問題1 経験記述問題(工程管理、品質管理)
問題2 専門分野(施工管理、電話設備系統図、光ファイバケーブル)
問題3 ネットワーク工程表(所要工期、フリーフロート)
問題4 労働安全衛生法令(労働災害防止対策)
問題5 施工全般(用語説明)
問題6 法規(建設業法、労働基準法、電波法)

 

1級電気通信工事施工管理技士の合格率・難易度

1級電気通信工事施工管理技士の受験者数と合格者数は、以下の通りです。

実施年数 検定の種類 受験者数 合格者数 合格者率
2019年 第一次検定 13,538人 5,838人 43.1%
第二次検定 5,781人 2,860人 49.5%
2020年 第一次検定 8,532人 4,190人 49.1%
第二次検定 6,707人 3,307人 49.3%

参照元:「令和2年度 管工事・電気通信工事・造園施工管理技術検定(1級・2級)合格者の発表」国土交通省

2年分を平均してみると、合格率は47.75%と半数近くの受験者が合格しています。他の施工管理技士の資格と比較すると、合格率は高い方なので挑戦しやすい資格と言えるでしょう。

 

1級電気通信工事施工管理技士取得のメリット

続いて、1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得するメリットについて解説します。

様々な案件に関わるチャンスが得られる

1級電気通信工事施工管理技士の資格は、電気通信工事に関わる施工管理者の知識やスキルを表す資格です。その中でも1級を取得すると、「監理技術者」として案件に関わることができるので、大きな現場の責任者として活躍することができます。

 

幅広い専門知識を勉強するきっかけになる

1級電気通信工事施工管理技士の試験では、施工に関する知識だけでなく、法規や工程・安全管理など幅広い範囲が出題されます。試験勉強を通じて、電気通信ネットワークの設計や施工、保守などに関する専門的なスキルを習得することができます。現場で見て学んだ知識などを学び直す機会にもなり、自身の能力をより向上させるきっかけになるでしょう。

 

社内外を問わず信頼が増す

1級電気通信工事施工管理技士の資格は、業界内での信頼と評価を獲得するための重要な要素です。この資格を持つことで、様々な現場で関わる担当者やクライアントと信頼関係が築きやすくなるでしょう。また、大規模なプロジェクトや公共事業などでの入札や契約獲得の際にも有利に働くというメリットもあり、社内外を問わず信頼感が増します。

 

スキルアップやキャリアアップに繋がる

上記でも述べた通り、1級の資格を保有すると監理技術者になることができるため、今まででは経験できなかった大規模工事に携わるチャンスが訪れます。大きな現場を経験することで経験値が増え、更なるキャリアアップが期待できます。

 

転職や就職に有利になる

1級電気通信工事施工管理技士の資格は、国土交通省が管轄する国家資格です。そのため、この資格を取得していると、転職や就職に有利に働くでしょう。さらに現場経験のある方であれば、給与面やポジションなどの条件交渉もスムーズに進むことが多くあります。転職を検討している方にとっては、自身のスキルを証明する材料にもなります。

 

1級電気通信工事施工管理技士補とは

「1級電気通信工事施工管理技士補」は、日本の電気通信工事の施工管理に関する資格制度のひとつで、主に1級電気通信工事施工管理技士の補助的な資格です。そもそも「施工管理技士補」は建設業法(第27条関係)改正に伴い、令和3年4月1日より誕生した資格で、監理技術者不足の問題を改善するために作られました。

1級電気通信工事施工管理技士補は、電気通信工事の現場で、1級電気通信工事施工管理技士の指示の下で業務を遂行する役割を担います。主に、電気通信工事の計画や施工、監理、品質管理などを行い、施工図の作成や確認、施工現場の監視、施工進捗の管理、施工品質の検査、安全管理を担当します。
1級電気通信工事施工管理技士補は、資格試験に合格することで取得することができるので、電気通信業界におけるキャリアアップや技術的なスキルの向上を目指す方にとって注目されている資格です。

 

専任技術者、主任技術者、監理技術者とは

以下では「専任技術者」「主任技術者」「監理技術者」の違いについて解説します。

専任技術者

専任技術者とは、工事の請負契約を適切な内容で結び、その工事を契約通りに実行するための役割を担う技術者のことです。建設業法では営業所ごとに専任技術者の配置が義務づけられているため、専任技術者は重要なポジションであると言えます。

また、専任技術者になるためには、下記の条件を満たす必要があります。

  • 一定の資格または実務経験がある
  • 営業所に常時勤務できる
  • 営業所の専任になっている

 
なお、必要な知識や経験は、建設業許可の種類(一般建設業または特定建設業)や建設業の業種によって異なるため、詳細については確認が必要です。

 

主任技術者

主任技術者とは、請負金額を問わず、すべての工事現場に配置が義務付けられている、施工の技術上の管理・監督をする者のことです。主任技術者は品質管理が主な仕事であるため、原則として全ての工程に立ち会う必要があります。主任技術者が担当できる工事は、一般建設業と、特定建設業のうち下請金額が4000万円未満のものです。建築一式工事の場合は6000万未満までを担当することができます。

また、主任技術者になるためには、下記の条件を満たす必要があります。

  • 許可を受けようとする建設業に応じた一級、二級国家資格者であること
  • 指定学科を修了し、一定の実務経験期間を満たした者
  • 10年以上の実務経験期間を満たした者

 
現場の品質を管理する職務だからこそ、経験や知識、保有資格などが問われます。なお、主任技術者になるための実務経験の年数は学歴によって差があるので、詳細については確認が必要です。

 

監理技術者

監理技術者とは、発注者から直接工事を請け負っており、4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)の下請契約を締結した工事で主任技術者に代わって配置が義務づけられている、施工の技術上の管理・監督をする者のことです。

監理技術者になるためには、下記の条件を満たす必要があります。

  • 指定建設業:一級国家資格などの資格でのみ申請可能
  • それ以外の22業種:一級国家資格などの資格に加えて実務経験でも申請可能

指定建設業:土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業のこと

監理技術者になるために必要な資格や実務経験は、建設業の業種によって異なります。なお、監理技術者が配置される現場は、必然的に大規模な工事なので、主任技術者よりも高度な経験や資格が求められます。

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