建築基準法と用途地域の関係を詳しく紹介!違反した場合のリスクも解説
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建築基準法と用途地域の関係を詳しく紹介!違反した場合のリスクも解説

2024年9月10日

建物を建設するにあたって重要になる「建築基準法」。建築時の基準となるルールが定められた法令であり、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めています。
万が一、建築基準法に違反している場合は罰則があるため、新築はもちろん既存の建物を購入する場合も確認が必要です。そこで今回は「建築基準法」をテーマに、用途地域や違反時のリスクなどを詳しく解説します。

 


 

建築基準法の目的

建築基準法は、建築物の安全性や耐久性を確保するために重要な法律です。主な目的は、利用者が安心して建物を使用できるようにすることで、災害が起きた際にも安全な状態を保てるように様々な基準が設けられています。以下では、単体定義集団規定について解説します。

単体定義とは

「単体定義」とは、一つの建築物単位での基準を指します。つまり、個々の建物が独立して評価され、建築の安全性や規模、構造などが決定される仕組みです。これには、建物の高さや面積、構造の安定性などが含まれます。
単体定義は、建物が単独で立地する場合や複数の建物がある場合でも、それぞれの建物が独立して評価される重要な基準です。これによって、各建物が個々に安全かつ適切に利用できるようになります。

 

集団規定とは

「集団規定」とは、複数の建物が一体的に構成される場合に適用される基準を指します。例えば、マンションやアパートなどの集合住宅では、個々の建物だけでなく、建物全体としての安全性や機能性が重要です。集団規定では、建物同士の間隔や共用部分、防火壁の設置などが規定されます。これによって、建物群全体が安全で快適に利用できる環境が整えられます。

 

建築基準法の用途とは

建築基準法は、日本における建築物の設計、施工、使用に関する基準を定める法律です。以下では、建築基準法における用途について解説します。

用途地域とは

建築基準法における「用途地域」とは、土地利用の区分を指します。都市や町村は、様々な地域に区分けを行い、それぞれの地域ごとに建築物の用途や規模、高さなどが定められています。例えば、住宅地域では主に住宅が建設されることが想定され、商業地域では商業施設が主に建設されることになります。用途地域の設定は、都市計画や地域の発展を考慮し、建築物の配置や利用を適切に調整するための重要な要素です。

 

主要用途とは

建築基準法における「主要用途」とは、建築物の主たる利用目的を指します。例えば、住宅、事務所、店舗、工場などが主要用途として定められます。建築物の設計や施工は、その主要用途に基づいて行われるため、正確な定義が重要です。
主要用途の適切な指定は、建物の機能性や安全性を確保するために欠かせません。例えば、住宅の場合は居住環境を重視し、工場の場合は生産プロセスを考慮するなど、それぞれの用途に応じた設計が求められます。

 

用途変更する場合

「用途変更」は、都市の変化や需要の変化に対応するために重要な制度です。建築基準法において、建物の主要用途や用途地域を変更する場合は、都市計画や建築基準法の規定に則り手続きが必要になります。例えば、もともと「住宅」として利用していた場所を「店舗」にするといったように、建物の用途を変更する際に必要な手続きです。用途変更の手続きを必須にすることによって、建物が不適切に利用されることを防ぎます。

 

建築基準法と用途地域の関係

建築基準法は、建築物の設計や施工に関する基準を定める法律であり、その適用は土地の「用途地域」によって決まります。以下では、主な用途地域ごとの特徴を説明します。

 

「住宅系」用途

「住宅系」用途地域は、住宅を主たる目的とした地域です。ここでは、一戸建て住宅やマンションなどの住宅施設が建設されることが想定されています。建物の高さや建ぺい率(建物が占める敷地の割合)などが規定され、住環境の確保が重視されます。

 

「店舗系」用途

「店舗系」用途地域では、商業施設や店舗、飲食店などが主に建設されます。商業地域や商店街などがこれに該当し、人々の商業活動を支える役割があります。建物の形態や利用方法が規定され、活気ある商業地域の形成が目指されます。

 

「事務所等」用途

「事務所等」用途地域では、オフィスビルや事務所が主に建設されます。ビジネスエリアやオフィス街などがこれに該当し、商業活動や事務作業を行うための場所として整備されます。建物の利用形態や建ぺい率が規定され、効率的なオフィス環境の提供が求められます。

 

「ホテル・旅館」用途

「ホテル・旅館」用途地域では、宿泊施設が主に建設されます。観光地や交通の要所などに設定され、観光客や出張者の宿泊を受け入れる役割があります。建物の規模や設備、客室数などが規定され、快適な宿泊環境が提供されます。

 

「遊戯室・風俗施設」

「遊戯室・風俗施設」用途地域では、ゲームセンターや風俗店、娯楽施設などが主に建設されます。市街地や娯楽エリアなどがこれに該当し、娯楽やレジャーの場として整備されます。建物の利用方法や設備が規定され、安全で健全な娯楽施設の提供が重視されます。

 

「公共施設・病院・学校等」用途

「公共施設・病院・学校等」用途地域では、公共の施設や病院、学校などが主に建設されます。教育施設や医療施設、行政機関などがこれに該当し、地域の公共ニーズを満たす場所として整備されます。建物の規模や機能が規定され、安全で便利な公共施設が提供されます。

 

「自動車車庫」用途

「自動車車庫」用途地域では、駐車施設やガレージなどが主に建設されます。駐車場や車庫の需要が高いエリアに設定され、車両の保管や駐車が行える場所として整備されます。建物の規模や利用方法が規定され、効率的な駐車環境が提供されます。

 

「倉庫・工場等」用途用途

「倉庫・工場等」用途地域では、物流施設や製造工場などが主に建設されます。産業地域や工業団地などがこれに該当し、生産活動や物流の拠点として整備されます。建物の規模や機能が規定され、効率的な生産環境が重視されます。

 

「危険物貯蔵庫」用途

「危険物貯蔵庫」用途地域では、危険物の保管施設が主に建設されます。安全管理が必要な物質の貯蔵や処理が行われる場所として整備されます。建物の安全性や設備が規定され、危険物を適切に取り扱えるような環境が重視されます。

 

建築基準法を違反した場合

建築基準法に違反すると、罰則が科せられる場合があります。工事停止命令があったにも関わらず工事を続けた場合などには、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に科せられます(建築基準法98条1項1号)。そのほか、業務停止処分といった対処もあるため、設計者は適切な設計や手続きを行わなければなりません。また、建築基準法に違反している住宅などを購入した場合、売却が困難になったり金融機関からの融資が受けられないといったデメリットがあるため購入者側も注意が必要になります。

 

まとめ

建築基準法は、建築物の安全性や耐久性を確保するために重要な法律です。そして、建築基準法に準じた建物は、人々の安全を守り地域の発展に貢献します。建築基準法を守らずに設計をしたり、建築基準法に違反している建物を購入したりすると、デメリットを被ることになるので注意しましょう。

 


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