2024年8月20日
鉄筋は建物を支える骨組みのひとつで、建築物を建てる上で重要な工事です。しかし、建築物が完成してしまうと目にすることはないので、あまりピンとこない人も多いかもしれません。そこで、今回は「鉄筋工事」をテーマに、鉄骨工事との違いや鉄筋工に必要な資格について解説します。建築工事に携わる方は最後までご覧ください。
そもそも鉄筋工事とは、建物や構造物を補強し、強度を高めるために行われる工事です。主に「鉄筋」と呼ばれる鋼製の棒や線を使用し、コンクリートと組み合わせて施工されます。
鉄筋は主にコンクリートの弱点である引張力を補完するために用いられ、耐久性を高める役割を果たします。鉄筋工事は建物の安全性や耐久性を確保する上で欠かせない工程であり、適切な計画と施工が重要です。また、建築基準や安全規制に適合するよう注意が払われます。
工事現場では、鉄筋のカットや曲げ、結束などが行われ、正確な寸法に合わせた鉄筋の枠組みが作られます。次に、鉄筋の枠組みがコンクリートの型枠内に配置されます。型枠は、コンクリートが流し込まれる際に形を保つ役割を果たします。コンクリートが硬化すると、鉄筋とコンクリートが一体化し、強固な構造が完成します。
鉄筋工事は建築と土木の両方に需要があり、ビルや橋梁、トンネル、高速道路など、さまざまな建設工事で用いられています。主に、建築物の強度を高めるためにコンクリートと併用されることが多く、鉄筋とコンクリートを使って作られた建物はRC造(鉄筋コンクリート造)と呼ばれています。
鉄筋工事には様々な工程があり、各作業を経て工事が完了します。以下では鉄筋工事の流れについて解説します。
まずは、鉄筋工事を行うために加工帳や施工図を作成します。加工帳とは、どのように鉄筋を加工するか を描いた加工指示書で、施工図とは、現場の施工をするために作成する図面です。図面や仕様書を見ながら、必要な材料、鉄筋の数量、加工の形状などを決定していきます。
加工帳や施工図をもとに、鉄筋の加工を行います。現場加工では精密な加工がしづらいため、基本的には事前に工場などで加工をしたものを現場に運び入れます。必要に応じて現場に運び入れる前に部材検査を行い、適切に加工されているかチェックを行います。
事前に加工された鉄筋を、施工図をもとに取り付けます。鉄筋にはいくつかの種類があり、組み立てる順序が決まっています。実際の施工は、現場の状況を加味しながら行われるので、作業員の経験値が求められる工程です。
鉄筋の配置が終わったら、鉄筋同士をつなぐ作業を行います。この作業は「鉄筋継手工事」とも呼ばれており、ガス圧接継手や溶接継手、機械式継手といった様々な工法があります。
上記の作業が完了した後は、図面通りに施工できているか検査を行います。万が一、施工不良が発覚した場合も是正できるように、コンクリート打設前に行うことが多いです。検査では工事写真を残し、後からも工事状況が確認できるようにすることが重要です。
鉄筋工事と混同されやすい「鉄骨工事」。鉄筋と鉄骨はどちらも構造物の主要素材なので、違いが把握できていないという方も多いかもしれません。以下では鉄筋工事と鉄骨工事の違いについて説明します。
鉄骨工事は、建築物や構造物を「鉄鋼製」の部材で構築する工事です。鉄骨は主に、鋼鉄製の柱、梁、桁などで構成されています。鉄骨工事は主に大規模な建築物や施設に適用されます。工場、倉庫、商業施設などで広く用いられ、長大な空間や強力な耐荷重が求められる場合に選択される傾向があります。
鉄筋工事と鉄骨工事では使用する部材が異なるため、施工方法も大きく変わります。
鉄骨は、鉄筋よりも太く頑丈な部材なので、建物の骨組みとして使用されますが、鉄筋は太さが1cm以上の鉄の棒なので補強材として使われることが多い素材です。
鉄筋工事を行う作業員のことを「鉄筋工」と呼びます。以下では鉄筋工の仕事について詳しく解説します。
鉄筋工の仕事は、建築物に使用する鉄筋に関する施工図や加工帳を作成し、加工、組み立てを行うことです。鉄筋は、構造物の強度を保つ重要な部分なので、構造物に関する幅広い知識と技術が必要とされています。
鉄筋はふだん、人目につかない部分ではありますが、鉄筋がなければ建物は自立することはできません。構造物を利用する人たちが安全に使えるようにするためには、鉄筋工事は重要であり必要不可欠な仕事と言えるでしょう。
全国における鉄筋工の年収は男性で452.4万円、女性で283.1万円が水準とされており、鉄筋工の年収は全国で445.2万円です。しかし、都道府県別で水準をみると地域によって差があるため、年収を上げたい場合は働く地域が重要になります。基本的に建築需要の多い都心部は年収が高い傾向にあります。
鉄筋工は専門的な知識が必要で特殊な作業が多いため、下記のような資格を取得するようにしましょう。
玉掛け技能者は、重い荷物を運搬する建設現場や工場などで重宝される国家資格の一つで、鉄筋工事では重宝される資格です。18歳以上であれば誰でも取得可能なので、比較的挑戦しやすい資格と言えるでしょう。
鉄筋施工技能士とは、鉄筋工事施工に関する技術や知識を認定する国家資格です。「鉄筋組み立て作業」と「鉄筋施工図作成作業」の2作業に区分され、どちらの作業にも1級と2級があり、それぞれ学科試験と実技試験とによって実施されます。
登録鉄筋基幹技能者とは、現場で働く鉄筋技能者を束ね、指示指導しながら「鉄筋工事の責任施工」を実施する熟練技能者が持つ資格です。熟達した作業能力と豊富な知識を持つことが証明されるので、鉄筋工事の作業監督を目指す方にオススメの資格です。
鉄筋工事は、建物や構造物を補強し、強度を高めるために行われる工事です。構造物を作る上で非常に重要な工程であるため、ものづくりが好きな方や責任感のある方にオススメの仕事と言えるでしょう。鉄筋工への転職は建設業界専門の求人サイトConMaまでお気軽にご相談ください。