建築と土木における基礎の種類を紹介!重要性も分かりやすく解説
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建築と土木における基礎の種類を紹介!重要性も分かりやすく解説

2024年8月6日

建設の基礎は、構造物の強度や耐久性を左右する重要な部分です。基礎に施工不良が生じると災害で建物が倒壊してしまったり、液状化現象などが起こったりする危険性があります。しかし、基礎は地中にあるため、なかなか目にすることがなく「よくわからない」という方も多いでしょう。
そこで今回は、建築と土木における基礎の種類を詳しく解説いたします。

 


 

建築と土木における基礎

建設と土木における「基礎」は、ふだん目にすることがないため馴染みのない方も多いはずです。そこで以下では、基礎の特徴と重要性について解説します。

基礎とは

建築や土木における基礎は、建物や構造物の安定性を保つための重要な要素です。基礎は建物や構造物全体の重量を支え、地盤に対して適切に分散する役割を果たします。具体的には、コンクリートや鉄筋などの材料を使い、地中に築かれます。基礎は建物の安全性や耐久性に直結し、適切に設計・施工されているかどうかは建物の寿命にも影響します。

 

基礎の重要性

基礎は構造物をつくる上で肝となる要素です。基礎が十分ではない場合、建物は地盤の沈下や地震などの自然災害に対して脆弱になります。また、時間の経過とともに地盤の変化や荷重の影響を受けるため、様々な要素を考慮した上で適切な基礎が必要です。十分な基礎があれば、建物は安定して立ち続けることができ、建物や構造物の利用者の安全を確保します。
基礎の選定方法は、建物の種類や地盤の状態によって決まります。例えば、単純なブロック基礎から、杭や鉄筋コンクリートを組み合わせた複雑な基礎まで様々です。建物の用途や地域の気候条件などを考慮に入れる必要があるため、設計者や施工者はそれぞれの基礎の特徴を把握しておく必要があります。

適切な基礎の設計と施工は、安全で耐久性の高い建物を実現するために不可欠になります。建物を長持ちさせ、利用者の安全を確保するために、基礎についての専門的な知識と技術が求められます。

 

基礎の主な種類

建築や土木における基礎には様々な種類があり、それぞれ特性が異なります。基礎の選定と設計は、建物の安定性と耐久性を確保する上で非常に重要です。各プロジェクトに最適な基礎を選定し、適切に施工することが求められます。以下では、基礎の主な種類について紹介します。

独立基礎

独立基礎は、建物の柱や壁などの荷重を支えるために使われる基礎の一種です。基礎と建物の柱とが一対一で対応する構造であり、それぞれの柱ごとに独立した基礎が築かれます。この方式は比較的単純で、小規模な建物や柱が分かれている場合に適しています。独立基礎は、基礎の下部に配筋鉄筋を配置し、コンクリートで固めることで作られます。

● 特徴

独立基礎の特徴は「その柱だけを支えるように設置する単独の基礎」であることです。布基礎よりも接地面積が小さくなるため、地盤強度が高い土地などで使用できます。一方で住宅ではあまり採用されない基礎工事になります。

メリット
独立基礎は、設計や施工が比較的容易であり、コストが抑えられる利点があります。特に小規模な建物や柱が分かれている場合には、効果的な選択肢となります。さらに、独立基礎は地盤の条件にある程度寛容であり、特に一般的な地盤条件では安定性を確保するのに適しています。地盤の沈下や変動が少ない場合には、独立基礎が安定した基礎の選択肢として用いられています。

 

デメリット
高層ビルや大きな施設など、大規模な構造物の場合は独立基礎だけでは十分な安定性を確保できない場合があります。
また、地盤の条件や地震のリスクが高い地域では、独立基礎の使用は注意が必要です。地盤が軟弱であったり、地震が頻繁に発生する場所では、より強力な基礎が求められる場合があります。大規模な建物や地盤の条件が特殊な場合には、他の基礎の選択肢も検討する必要があることを念頭に入れておきましょう。

 

布基礎

布基礎とは、地面に逆T字型にコンクリートを打ち込み基礎にする方法で、後述のベタ基礎と比べて地面の奥深くまで鉄筋コンクリートを入れるのが特徴です。布基礎の床はコンクリートで覆われていますが、構造物を支えるのは立ち上がっている部分のみであり、点で支える構造になります。

● 特徴

布基礎の特徴は、構造物の支え方にあります。布基礎の床はコンクリートで覆われるので、ベタ基礎と同じように思えますが、建物を支えるのは立ち上がっている部分のみです。一見するとベタ基礎と同じように見えますが、ベタ基礎が「面」で建物を支えるとしたら、布基礎は「点」で支える構造になります。

メリット
布基礎は広範囲にわたる基礎であるため、建物の重量が均等に分散されることから、地盤にかかる負荷が軽減されます。これにより、地盤の沈下や変動のリスクが低減し、建物の安定性が確保されます。
また、後に紹介するベタ基礎と比べると、使用するコンクリートが少なくて済むので、施工費が安価に抑えられるメリットがあります。

 

デメリット
布基礎は点で建物の荷重を支えるため、ベタ基礎と比較すると耐震性で劣る傾向にあります。また、ベタ基礎と比べて湿気やシロアリ被害を受けやすいため、住宅業界などでは後に紹介するベタ基礎を取り入れている場合も多々あります。

 

ベタ基礎

ベタ基礎は、建物全体の重量を地盤に均等に分散させるために使われる基礎の一種です。布基礎と似たような特性を持っていますが、一般的には布基礎よりも浅い基礎として施工されます。特に一般住宅や小規模な建物に適しています。ベタ基礎は基礎部分に配筋鉄筋を配置し、コンクリートで固められます。

● 特徴

ベタ基礎は、立ち上がっている部分と床一面を、鉄筋を入れたコンクリートで一体化して大きな面で重みを支えます。一般的には布基礎よりも浅い基礎として施工されますが、面で支える構造のため、耐震性は布基礎よりも高くなる特徴があります。

メリット
ベタ基礎は底面全体で建物を支えるため、不同沈下が起こりにくいというメリットがあります。不同沈下とは、建物の一部だけが大きく沈下するなどして建物が傾いてしまうことで、ベタ基礎は不同沈下が起こりにくいとされています。
また、布基礎と比較して耐震性も高いので、住宅業界ではベタ基礎が採用されることも多々あります。

 

デメリット
ベタ基礎は使用するコンクリートと鉄筋の量が多いため、建築コストがかかります。また、コンクリート内に配置する鉄筋の大きさや量によって強度が異なるため、実現強度に合わせた綿密な設計が必要になります。

 

フーチング基礎

フーチング基礎は「フーチング」を設置した直接基礎です。フーチングとは、基礎の底面が広い部材で、地盤の支持力を上げる効果があります。フーチングを用いる「布基礎」は、逆T字型のフーチングを建物の外周と内部の必要な部分に連続して設置します。このように、フーチングがつながっていることから、布基礎のことを「連続フーチング基礎」と呼ぶこともあります。

● 特徴

フーチング基礎に使用する「フーチング」には、地盤に接する面を広げ、建物の自重を分散させる特徴があります。つまり、耐震性能が高く、建物の倒壊や沈下を防ぐ効果があります。また、地盤の地耐力に応じて幅を調整できるため、現場の状況に応じて適した設計が可能です。

メリット
フーチングは幅が広いほど荷重を分散させることができます。地耐力が低い地盤では幅を広く、高い地盤では幅を狭くすることが可能です。フーチングの幅の大小は、地盤の強さを数値化する「地耐力」にもとづいて異なります。

 

デメリット
フーチングと地中梁が一体化した布基礎の場合、基礎の内側は土が露出しています。そのため、フーチング基礎を使用した構造物は湿気に弱く、シロアリ被害に遭いやすいデメリットがあります。

 

基礎の種類を理解して現場に役立てよう

建築と土木における基礎は、「独立基礎」「布基礎」「ベタ基礎」「フーチング基礎」というように様々な種類があります。そして、現場の状態や予算、使用用途に合わせて適切なものを設計しなければなりません。そのためにも、まずは基礎の特徴を把握することが大切です。建設業界に従事している方は、今日のポイントをおさらいしておきましょう。

 


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