安全管理者の資格を取得するメリットは?衛生管理者との違いも解説
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安全管理者の資格を取得するメリットは?衛生管理者との違いも解説

2023年4月5日

建設現場では、業務に関連した事故や怪我(労働災害)が起こる危険があるため、ある一定以上の人数が関わる現場では「安全管理者」が必要になります。この安全管理者は、建設現場の安全を守ることが主な役割ですが、安全な環境をつくるために様々なことを行います。
そこで今回は「安全管理者」をテーマに、安全管理者になるために必要な資格や、取得するメリットなどを詳しく解説していきます。建設現場の監督を目指す方や建設業界に従事する方は必見です。

 


 

安全管理者とは

そもそも「安全管理者」とは、安全に関する技術的事項を管理する資格を指します。この資格を持っていると、安全管理者として現場に配置することができ、現場の安全を守るために様々なことを行います。安全管理者の具体的な職務は、厚生労働省のホームページに記載されていますのでぜひ確認してみてください。

【安全管理者が行うべき安全に関する措置】

  1. 建設物、設備、作業場所または作業方法に危険がある場合における応急措置または適当な防止の措置
  2. 安全装置、保護具その他危険防止のための設備・器具の定期的点検および整備
  3. 作業の安全についての教育および訓練
  4. 発生した災害原因の調査および対策の検討
  5. 消防および避難の訓練
  6. 作業主任者その他安全に関する補助者の監督
  7. 安全に関する資料の作成、収集および重要事項の記録
  8. その事業の労働者が行う作業が他の事業の労働者が行う作業と同一の場所において行われる場合における安全に関し、必要な措置

参考元:厚生労働省ホームページ

上記から分かる通り、安全管理者の業務は多岐に渡ります。事業場の規模などに応じて配置が義務付けられているので、現場管理を目指す方には必要な資格のひとつです。

 

活躍できる場所

今回は建設業界に絞って解説しますが、実は建設業界以外でも「安全管理者」の資格が必要な業界が多々あります。建設業以外では、下記の業界で必要とされています。

林業、鉱業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。 ) 、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業

 
上記の業界では、常時使用する労働者が50名を超える場合、安全管理者の選任が必要とされています。

 

人数要件

上記でも触れた通り、建設業界は、常時使用する労働者が50名を超える場合、安全管理者の選任が必要です。しかし、常時使用する労働者が300名を超える場合は、専任の安全管理者を配置しなければなりません。この専任の安全管理者の配置は、業種によって目安の労働者の数が異なります。他の業種を確認する場合は、厚生労働省のホームページをご確認ください。

 

衛生管理者との違い

安全管理者と似た資格に「衛生管理者」があり、この2つは共通する部分も多いですが、主な違いは管理する対象にあります。事業場の安全管理を行うのが安全管理者ですが、衛生管理者は労働者の健康や衛生管理を行うのが役割です。
また、選任条件にも違いがあり、衛生管理者は業者に指定がなく、50名以上の労働者がいる場合はどんな業種でも必要になります。安全管理者と衛生管理者は混同されやすいですが、このような違いがあることを覚えておきましょう。

 

安全管理者の資格を取得するメリット

安全管理者になるためには、資格を取得しなければなりません。安全管理者の資格を取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか。以下では3つのポイントに絞って解説します。

工場や現場の環境確認ができる

一つ目は「工場や現場の環境確認ができる」ことです。資格を取得すると、労働安全衛生法に定められた「安全管理者」として現場に配置されます。作業環境に問題がないかどうか確認する仕事は非常に重要で、その責任者として仕事ができます。仕事に対する関わり方が変わり、モチベーションも上がるでしょう。

 

作業工程の確認ができる

二つ目は「作業工程の確認ができる」ことです。安全管理者は現場で重要なポジションになるため、作業工程に問題がないかどうかを確認し、問題がある場合は是正指示を行います。作業工程は現場の羅針盤のようなものなので、その部分に責任が持てるようになります。

 

安全指導ができる

三つ目は「安全指導ができる」ことです。安全管理者は、現場の安全管理に特化した仕事であり、現場に不備がある場合は指導を行います。これは労働者の健康を守る大切な役割であり、施工管理者として貴重な存在になるでしょう。

 

安全管理者になるには

安全管理者の資格を取得するためには下記の二つの方法があります。

厚生労働省が定める研修を受ける

厚生労働省が定める研修「安全管理者選任時研修」を受けると、安全管理者になることができます。安全講習は全部で9時間で、内容は以下の通りです。

  • 安全管理(3時間)
  • 事業場における安全衛生の水準向上を図るため、事業者が一連の課程を定め行う自主活動(3時間)
  • 安全教育(1.5時間)
  • 関係法令(1.5時間)

 
ただし、研修の受講に加えて以下の条件のいずれかに該当する必要があるので、注意しましょう。

  • 学校教育法による大学、高等専門学校における理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後2年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
  • 学校教育法による高等学校、中等教育学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業した者で、その後4年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
  • 学校教育法による大学、高等専門学校における理科系統の課程以外の正規の課程を修めて卒業した者で、その後4年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
  • 学校教育法による高等学校、中等教育学校において理科系統の学科以外の正規の学科を修めて卒業した者で、その後6年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
  • 7年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
  • その他(職業訓練課程修了者関係)

 

労働安全コンサルタント試験を受ける

上記の他にも、公益財団法人安全衛生技術試験協会が開催している労働安全コンサルタント試験に合格すると、安全管理者になることができます。

● 試験内容

労働安全コンサルタント試験は「筆記試験」「口述試験」があり、いずれも規定値を超える必要があります。試験自体は「機械」「電気」「化学」「土木」「建築」の区分のいずれか1つを受験できます。ただし、受験するためには受験資格を満たしている必要があります。詳しくは、公益財団法人安全衛生技術試験協会のホームページをご確認ください。

● 難易度

労働安全コンサルタント試験の合格率は20〜30%程度と言われています。合格基準は、筆記試験が総点数の60%以上、口述試験は4段階評価中上位2段階で合格です。ただし筆記試験の科目がひとつでも満点の40%未満だと不合格となります。合格率が高い試験ではありませんが、ある程度現場経験を積み、試験対策を行っている方であれば独学でも合格が狙えるでしょう。

 

まとめ

安全管理者は、安全に関する技術的事項を管理する資格を取得した人のことで、この資格を持っていると安全管理者として現場に配置することができます。現場の安全を守る重要なポジションであるため、施工管理者として様々な現場に関わりたいと考えている方は取るべき資格のひとつと言えるでしょう。また、資格を取得していると転職に有利に働くこともあるので、建設業界への転職を検討している方は挑戦してみてはいかがでしょうか。

 


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