2022年12月21日
建設業界では、労務安全書類や関係書類を正確かつ効率的に管理するために「グリーンサイト」を利用する会社が増加しています。グリーンサイトの利用により、労務安全書類などをクラウド上で作成・提出することができるため、手間や時間を省くことができます。
この記事では、グリーンサイトやグリーンファイルの概要、グリーンサイトのメリット・デメリット、料金体制などについて解説します。
グリーンサイトは、クラウドサービス上にて労務安全書類を簡単に作成・確認・提出が可能な登録制のサービスです。グリーンサイトへの登録はオンライン上で行い、登録手続きが完了するとID・パスワードが発行されます。
クラウドサービス上での利用となりますので、アプリのインストールは不要です。デバイス(PCやタブレット、スマホ)、ネット接続環境、ID・パスワード情報があれば、いつでもどこでも利用できるので、書類作成がスムーズになります。書類作成後、オンライン上で元請会社に提出することができるので、書類の印刷や郵送する手間も省くことができます。
なお、書類提出先の会社がグリーンサイトに加入していない場合オンライン提出はできませんので注意が必要です。
2022年9月末時点でのグリーンサイト利用企業数は、下記の通りです。
スーパーゼネコンの大成建設、清水建設、鹿島建設、大林組のほか、準大手、中堅ゼネコン、設備会社など合計約450社が元請として加入済です。利用中の現場数は常時29,000現場以上となります。
全国約89,000社以上の協力会社が加入済です。
全国約612,000社以上の協力会社が登録済です。
グリーンファイルは、グリーンサイトで作成される書類をいいます。グリーンファイルの名前の由来は、グリーン色のファイルに作成書類が綴じられることが多いためです。グリーンファイルは、工事現場の安全に関わる書類の全てを指します。
大きく分類すると以下の2つになります。
労働安全書類は、工事現場の安全確認を行う上で必要な書類です。書式や分類は会社により異なりますが、下記の書類が一般的です。
工事安全衛生計画書 | 工事を進める上での心構えをまとめたもの |
---|---|
工事現場作業員名簿 | 協力業者の作業員名簿 |
安全ミーティング報告書 | 安全ミーティングの実施内容報告書類 |
新規入場時安全衛生教育実施報告書 | 工事現場入場前に安全衛生教育受講の報告書類 |
重機等使用届 | 移動式クレーンなどを用いる際の提出書類 |
現場入場車両使用届 | 作業車を用いる際の提出書類 |
通勤用車両使用届 | 通勤に用いる車両の報告書類 |
火気使用届 | 工事現場で溶接作業を行う際の提出書類 |
有機溶剤・特定化学物質等持込使用届 | 塗料などの有機溶剤を用いる際の提出書類 |
施工体制台帳関係書類は、工事を担当する会社の体制を明確にする書類です。労働安全書類と同様に書式や分類は会社により異なりますが、下記の書類が一般的です。
施工体制台帳 | 工事に関連する全ての事業者情報をまとめた書類 |
---|---|
施工体系図 | 協力業者の作業分担書類 |
施工体制台帳作成通知書 | 元請業者が作成し、協力業者への提出書類 |
再下請負通知書 | 協力業者が下請け業者を利用する際の提出書類 |
外国人建設就労者等現場入場届 | 外国人労働者を雇用する際の提出書類 |
グリーンサイトを登録(導入)することにより、以下などのメリットがあります。
グリーンサイトは、デバイス(パソコン、タブレット、スマホ)やネット環境があれば、いつでも書類作成・提出が可能です。デバイスとネット環境を整備すれば、会社に戻らなくても書類作成ができるため、出力・郵送・移動などの手間や時間を大幅に削減できるメリットがあります。
提出書類が多数に及ぶと、記入漏れや帳票漏れが発生しやすくなります。グリーンサイトは、未記入書類や項目があると提出不可となるため、記入漏れや帳票漏れを防ぐことができます。
グリーンサイトは、免許や資格、書類の有効期限などを一元管理でき、期限切れを事前に通知するリマインド機能があるため、忘れ防止になります。更新期限のある情報を登録すると、期限切れの1ヶ月前から警告ランプが表示されます。
例えば以下などです。
また、作業員の保有資格や社会保険加入状況などの調査機能もあり、工事作業内容に適合したスタッフ配置が可能です。
グリーンサイトは作成書類を元請業者へオンラインで即時に提出できるため、書類作成から提出までがワンストップとなり、書類の出力・郵送などの手間を省くことができます。また、協力業者が提出した書類を元請業者は即時に確認できる点もメリットのひとつといえます。
書類作成するために、まず会社情報などの基本情報を入力します。会社情報は一度入力すると全ての書類に自動的に反映されるため、同じ内容を再入力する手間を省くことができます。
また、作業員ごとの各種保有資格の登録も必要ですが、複雑な建設業資格名称もあらかじめ登録されている候補の中から選択するだけですし、作業員名簿から作業員を選択すると保有資格も自動的に反映されるので、大幅に入力作業を削減することもできます。
作業員の入退場は、以下で簡単に管理できます。
作業員が多い場合、入退場する度に作業員名簿と照合するだけでも時間と手間がかかりますが、グリーンサイト発行のQRコードを利用することで瞬時に作業員の照合が可能となり、時間と手間を省くことができます。
グリーンサイトは、以下のような充実したサポート体制が整っています。
グリーンサイトのデメリットは、主に以下などです。
グリーンサイトは有料サービスであるため、利用料がかかります。元請業者に限らず協力業者も利用料が必要になるため、グリーンサイトへの登録が進まない可能性があります。利用料が協力業者に負担となる場合、元請業者が代わって利用料を支払うケースもあります。
グリーンサイトは、デバイス(パソコン、タブレット)やネット環境を必要とします。そのため、工事現場にデバイスやネット環境が無い場合、会社に戻ってから書類作成する必要があるためグリーンサイトのメリットを発揮できません。書類作成業務を工事現場で行えるために、デバイスやネット環境を整備する必要があります。
グリーンサイトに登録していない協力企業が提出するグリーンファイルは紙媒体での提出となり、電子と紙との二重管理となるため、メリットを受けることができません。
グリーンサイトの料金設定は、元請会社と協力会社とで異なります。
元請会社の場合、「ID利用料」「プロジェクト利用料」が必要になります。
コース | 契約プロジェクト数 | 1プロジェクト当たりの単価(税込) | 利用枠のプロジェクト数の追加単位 |
---|---|---|---|
Aコース | 10pj~99pj | 7,700円/月 | 1pj |
Bコース | 100pj~249pj | 7,150円/月 | 10pj |
Cコース | 250pj~499pj | 6,600円/月 | 10pj |
Dコース | 500pj~999pj | 5,500円/月 | 10pj |
Eコース | 1,000pj~2,999pj | 4,400円/月 | 10pj |
Fコース | 3,000pj~4,999pj | 3,300円/月 | 10pj |
Gコース | 5,000pj~ | 2,750円/月 | 10pj |
※参考元:「グリーンサイトとは」グリーンサイト
協力業者の場合、「ID利用料」が必要になります。
グリーンサイトを操作する人1名ごとに1IDが必要となるため、操作する人数分のID数で申込する必要があります。IDは、元請企業・協力会社のどちらの立場でも共通で利用できます。
グリーンサイトに関してよくある質問は主に以下の通りです。それぞれ解説していきます。
一人親方でもグリーンサイトに登録した方が賢明といえるでしょう。一人親方を含む工事の下請け業者は、工事現場に入る際に元請業者に対してグリーンファイルを提出する決まりになっています。グリーンファイルは全国建設業協会の様式で作成するケースが多いですが、工事現場によっては独自の様式を採用している場合もあります。工事現場が変わる度に多数の書類を作成・提出するのは、手間と時間がかかります。
グリーンサイトに登録することによる一人親方のメリットとしては、主に以下などが挙げられます。
ただし、一人親方がグリーンサイトを利用するには以下の費用が発生します。
操作マニュアルなどで操作方法が不明な場合、MCデータプラスが運営するサポートデスクに電話でお問い合わせが可能です。
新規申込に関する問合せ | 0570-020-140 |
ID・パスワードに関する問合せ | 0570-020-540 |
グリーンサイト操作全般に関する問合せ | 0570-020-540 |
請求に関する問合せ | 0570-020-740 |
作業所Netの操作に関する問合せ | 0120-98-1414 |
月曜日~金曜日:午前9時~午後5時(土日祝日、年末年始を除く)
入会手順、建設サイト・シリーズ操作方法の案内専用窓口となります。
グリーンサイトへの申込みから利用開始までは、約3週間程度かかる見込みです。
申込の手順は下記の通りです。