2022年9月1日
建築設備に関する資格には様々な種類がありますが、その中でも「建築設備士」はトップクラスの資格と言われています。建築設備士は、建築に必要不可欠な給排水衛生設備の配管や、電気や空調などの建築設備のスペシャリストとして知られる国家資格です。
そこで今回は「建築設備士」に着目して、資格取得のメリットや難易度などを詳しく解説していきます。建築設備系の資格を検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。
そもそも「建築設備士」とは、給排水衛生設備の配管や電気、空調などの建築設備に関するスペシャリストを指します。建築物に備えられている建築設備に関する専門的な知識や技術を持ち、建築士に対して建築設備の設計や工事監理のアドバイスができるようになります。
実際に建物を設計しているのは建築士などの資格を持った設計者であることが多いですが、建築設計では意匠や構造、設備など、あらゆる設計をしなければなりません。もちろん全ての知識を網羅している設計士もゼロではありませんが、多くの設計士は自分の得意とする部分の他は外部に委託したり、助言を求めたりしています。
建築設備士は、その中でも「設備」に特化した人で、建築物に適した設備を設計士に助言します。建築設備士が自ら設計するのではなく、建築士からチェックを求められた場合にその業務を行います。
建築設備士の主な仕事は、設計士に対して建築設備の設計や工事監理などについての適切なアドバイスを行うことです。
内容は電気や給排水、空調設備などの設備設計がメインになり、 設計内容や図面設計などの打ち合わせを行ったり、 工事現場で設計内容が反映されているかを確認したりするのも建築設備士の仕事です。
実は、建築設備士がいなくても建築設備や建築設計をすることはできます。 しかし、建築設備士から建築設備や工事管理で助言を受けた場合、建築士は建築確認申請書などにその内容を明記する必要があります。
建築士と異なり、建築設備士が設計に関わることはありませんが、その分数多くの物件に携わることができますし、設計者との繋がりもたくさんできるでしょう。
設計業界で仕事を広げたい方にはオススメの仕事です。
建築設備士の平均年収は、500万円~800万円程度と言われています。会社の規模によって年収に幅があり、大手企業の場合は年収が高い傾向にあります。
また、建築士や施工管理技士などの建築に関する他の国家資格を有している場合は、年収アップが期待できます。
企業や資格有無によって年収は異なるので、まずは希望年収を企業や転職エージェントに伝えるようにしましょう。
建築設備士の主な転職先は、下記の通りです。
とくに大規模の建物や施設では設備のメンテナンスなどを行うことが多く、建築設備士の資格を活かして働くことができます。
また、最近では省エネ効果が期待できる工事の注目度が高く、建築設備士の知見が必要とされる機会も増えてきました。建築設備士は国家資格なので、各企業からの需要も高く、資格を持っていると重宝されるでしょう。
建築設備士の資格を取得すると得られるメリットについて紹介します。
一つ目は「建築士の受験資格が与えられる」ことです。建築設備士は「二級建築士と同等以上の知識・技能を有するもの」とされているので、資格取得後に4年以上の実務経験を得れば一級建築士の試験を受験できます。
二つ目は「公的な書類に記名できる」ことです。建築主に交付すべき書面、建築設備工事監理報告書、確認申請書など、公的な書類に建築設備士として記名できます。
三つ目は「防火対象物点検資格者講習の受験資格が与えられる」ことです。建築設備士に合格すると、防火対象物点検資格者の受講資格を得ることができます。仕事内容に応じて資格を取得すると、昇給アップや転職に有利に働くでしょう。
建築設備士は、国家資格のひとつです。試験は第一次試験と第二次試験の2種類があり、両方に合格することで、資格が与えられます。
一次試験ではマークシート式の学科試験で、二次試験では設計製図を行います。一次試験の出題数は105問で、「建築一般知識27問」「建築法規18問」「建築設備60問」の3つから出題されます。
二次試験は「建築設備基本計画」「建築設備基本設計」の2つから基本計画の構築と基本設計を行います。
令和4年建築設備士試験は下記の日時で行われます。
※参照元:https://www.jaeic.or.jp/smph/shiken/bmee/index.html
建築設備士試験の受験資格は、下記の区分で定められています。
※参照元:https://www.jaeic.or.jp/smph/shiken/bmee/bmee-shikenannai2022.html#cms2
建築設備士の合格率は、一次試験が30%前後、二次試験が50%前後と言われています。
全体の合格率は15~20%で推移しており、難易度の高い試験と言えるでしょう。
合格基準は、建築一般知識40%以上、建築法規50%以上、建築設備50%以上を確保し、かつ合計基準点60%以上が必要になります。全体の合計基準が60%を超えていても、各科目で点数が基準値を下回った場合は不合格となりますので、合格基準も厳しく設定されています。
最後に建築設備士の勉強方法について紹介します。
一つ目は「過去問を繰り返し解く」ことです。合格率が高い試験ではありませんが、出題傾向は把握しやすく、反復して対策することで合格率は高くなります。
過去問を中心に何度も勉強を行い、問題文や試験時間に慣れておくようにしましょう。
二つ目は「講習会やセミナーの受講」です。一人で試験対策を行っていると、わからない問題が出てきた時に挫折しやすくなります。講習会やセミナーに参加すると、勉強仲間ができたり講師の先生に質問できたりするので、勉強が継続しやすくなります。
定期的に通って、勉強習慣をつけることも合格率アップにつながるでしょう。
建築設備士は、給排水衛生設備の配管や電気、空調などの建築設備に関する国家資格で、建築士に対して建築設備の設計や工事監理のアドバイスをする仕事です。その分、建築物に備えられている建築設備に関する専門的な知識や技術が必要になります。
業界内の需要も高く、転職や就職も有利に働きますので、建築設備の分野でスキルアップしたいと考えている方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。