建設業経理士2級の試験概要を解説!試験の傾向と対策、勉強方法とは?
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将来性
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メリット
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建設業経理士2級の試験概要を解説!試験の傾向と対策、勉強方法とは?

2022年7月27日

「建設業経理士」は、建設業に特化した経理・簿記に関する資格です。この資格を持っていると、「建設業経理のプロ」として企業に転職・就職することができます。
そこで当記事では、建設業経理士を取得するメリットと、挑戦しやすい2級の試験概要を紹介します。建設業で経理の仕事に興味のある方や建設業界でキャリアアップを狙っている方はぜひ最後までご覧ください。

 


 

建設業経理士とは?

「建設業経理士」とは『一般社団法人 建設業振興基金』が実施する簿記系民間資格の1つで、建設業経理に関する知識と処理能力の向上を図るための資格です。
建設業界は、会計の仕組みや勘定項目名が一般的な業界とは異なるため、簿記の知識に加えて建設業界に関する知識が必要になります。
建設業経理士には4級〜1級まであり、さらに1級及び2級合格者は、合格した日から5年以内は公共事業を請け負う際の「経営事項審査」における「公認会計士等の数」において評価されています。

 

建設業経理士2級を取得するメリット

建設業経理士2級を取得することで、さまざまなメリットがあります。以下では建設業経理士2級を取得するメリットを解説します。

転職・就職に有利

一つ目は建設業に転職・就職が有利になります。「建設業経理士」を取得していることで、建設業に関しての専門的知識を保有していることの証明ができるからです。
また、会社によってではありますが、資格手当がつく可能性もあります。金額も会社によって異なりますが、2級で5,000円〜10,000円、1級で10,000円〜30,000円ほど支給されることもあります。
そのため、入社するときにおいても、会社に入ってからの給料においても、「建設業経理士」を所有していることが有利に働くメリットの1つと言えます。

 

簿記知識が身につく

二つ目は「簿記知識が身につく」ことです。「簿記」と「建設業経理士」はどちらも財務や経理業務に関することなので、共通する部分が多くあります。そのため、建設業経理士を勉強することで、簿記に関しての知識をつけることができます。
簿記で学ぶ「仕訳」や「勘定科目」を応用し、少し変則的になるのが建設業経理士です。

 

会社からの評価アップ

建設業界で財務や経理業務に関わっている人は、「建設業経理士」を取得することで会社からの評価が上がります。理由としては、建設業界に特化した会計知識を身につけた証になるからです。
また、自発的に「建設業経理士」を取得したとなれば、その向上心に対しても会社からの評価は上がることでしょう。
さらに、建設業経理士2級以上が在籍している会社は、公共工事入札の際に実施される「経営事項審査」で加点されます。会社としても大きなメリットになるので、建設業経理士2級を取ることは会社からの評価アップにつながると言えます。

 

建設業経理士2級の試験概要

以下では、建設業経理士2級の試験概要について解説していきます。

試験日程

試験日:2022年9月11日(日)
申込期限日:2022年5月17日(火)〜6月16日(木)

これまでの傾向としては「3月」と「9月」に実施されることが多いです。

 

試験内容

建設業経理士2級の試験内容は以下の通りです。

  • 多岐選択肢5題
  • 建設業の簿記
  • 原価計算
  • 会社会計

 
建設業経理士の試験を実施する『一般社団法人 建設業振興基金』の公式サイトに建設業経理士検定試験 出題区分表(1級・2級)があるので、こちらも参考にしてみてください。

 

受験資格

受験資格は特にありません。だれでも受験できるのが、建設業経理士の特徴です。ただし、1級と他の級を同日に受験することはできないのでご注意ください。

 

受験料

建設業経理士2級の受験料は7,120円(税込)です。この受験料の中には、申込書代320円(税込)も含まれています。
なお、申込み完了後の返金は不可となっていますので注意が必要です。

 

合格基準

100点満点中70点で合格です。決まったパターンでの出題が多いので、演習問題を数多くこなし、設問パターンを押さえておくことがポイントになります。
問題数は多くないものの、ひとつの設問にかける時間配分は重要です。問題にかける時間を早くするためにも、事前の対策は必要です。

 

合格率

建設業経理士2級の直近5年の合格率は「約46%」でした。

実施日 受験者数 合格者数 合格率
第26回(2022年9月8日実施) 8,635人 3,578人 41.4%
第27回(2022年9月13日実施) 10,099人 6,308人 62.5%
第28回(2022年3月14日実施) 8,766人 3,600人 41.1%
第29回(2022年9月12日実施) 9,318人 3,678人 39.5%
第30回(2022年3月13日実施) 9,288人 4,163人 44.8%

※参考元:「建設業経理検定試験 過去の実施状況」一般財団法人 建設業復興基金 建設業経理検定

 

難易度

2022年の3月の合格率は44.8%で、だいたい約2人に1人が合格しています。合格のために受験勉強は必要ですが、きちんと対策を行えばそこまで難関資格というわけではありません。

※参考元:「建設業経理検定試験 過去の実施状況」一般財団法人 建設業復興基金 建設業経理検定

 

建設業経理士2級 試験の傾向と対策

ここからは、建設業経理士2級の「試験の傾向と対策」について、5つのポイントに絞って解説していきます。

仕訳問題の傾向と対策

第1問の「仕訳問題」は5問×4点の計20点です。傾向としては過去問からの出題が多いので、パターンや勘定科目を覚えることがポイントです。そのためには、過去問や問題集をたくさん解き、問題になれるようにしましょう。
仕訳問題は無料アプリや無料サイトなども豊富にあるので、通勤時間などのスキマ時間でも学びやすいです。

 

個別計算問題の傾向と対策

第2問の「個別計算問題」は4問×3点の計12点です。傾向としては様々なキーワードと一緒に数字が出題されるので、そのキーワードと数字をもとに空欄に入る数字を計算します。計算自体は四則演算のみなので難しくはありませんが、文章を読み解く力が必要です。
対策としては、計算パターンを覚えるために何度も反復して学習することをオススメします。

 

原価計算問題(配賦)の傾向と対策

第3問の「原価計算問題(配賦)」は7か所×2点の計14点です。傾向としては原価についての選択&計算問題が出題されます。
「配賦」とは、複数の製品や部門にまたがってかかる経費をそれぞれに割り当てることです。配賦は言葉がややこしく最初は難しいかもしれませんが、「何に基づいて配賦率を決定するのか」を理解すれば問題に慣れてくるでしょう。

 

完成工事原価報告書作成の傾向と対策

第4問の「完成工事原価報告書作成」は12か所×2点で計24点です。完成工事原価報告書作成は、過去問をたくさん解いて計算のパターンを覚えることが大切です。テキストや過去問を使って繰り返し勉強し、確実に点数を取りに行きましょう。

 

精算表作成の傾向と対策

第5問の「精算表作成」は10か所×3点の計30点です。解答用紙の「精算表」に設問の計算(精算処理)した結果を記入していきます。過去問からも同じ設問が出る傾向にあるので、過去問を繰り返し解いて、計算パターンを覚えましょう。

 

建設業経理士2級の勉強方法

以下では、建設業経理士2級の試験勉強に「必要な勉強時間」や「対策のコツ」などを紹介します。

どれくらいの勉強時間が必要?

建設業経理士を取得するための勉強時間は、元々の会計や簿記の知識によって変わってきます。
そこで、「はじめて簿記について勉強する人」と「元々簿記についての知識がある人(簿記3級合格者レベル)」に分けて解説します。

● はじめて簿記について勉強する人

建設業経理士2級は、簿記についてはじめて学ぶ人でも合格できるレベルです。大体どのブログや関連サイトを見ても、「3か月程度あれば合格圏内」と言われています。
勉強時間にすると「100時間〜150時間」です。150時間÷90日で「1日平均1.6時間」が目安になります。会社員でも、スキマ時間や朝・夜に多少時間が取れれば「1.6時間」の確保はさほど難しくないでしょう。

● 元々簿記についての知識がある人(簿記3級合格者レベル)

元々簿記3級レベルの知識があれば、さらに勉強時間は短くても合格が狙えるでしょう。建設業経理士は、日商簿記で学んだ「仕訳」や「勘定科目」等の知識が重要なので応用できます。そのため、簿記3級レベルの知識を持っていれば勉強時間が短くても問題ないでしょう。
勉強期間は「1〜2か月」、時間にして「60〜100時間」を目安にしてみてはいかがでしょうか。

 

過去問の分析が大切

対策のコツとして挙げられるのが「過去問」を繰り返し解き、傾向を学ぶことです。建設業経理士2級の試験に限らずですが、資格試験では過去問を解くことが重要です。
試験問題を見る限り、建設業経理士の試験は昔に出された問題を少し変えて出されることが多々あります。特に計算問題はケアレスミスを起こしやすいので、何度も反復して問題に慣れることが大切です。そして繰り返し問題を解いていくと「どんな問題が出題されているか」がわかり、出題の傾向が見えてきます。過去問を使い問題をこなしていくことは、合格への道のりに欠かせないポイントと言えるでしょう。

 

先に簿記を学ぶのがおすすめ

最初に「建設業経理士2級」を目指すよりも、まず「簿記」から勉強を始めてみることもおすすめです。上記でも触れた通り、簿記で学ぶ「仕訳」や「勘定科目」等の知識は、建設業経理士2級でも活かせます。最初に簿記を理解しておくと基礎が出来上がるので、その土台を作った上で簿記の応用である建設業経理士を学ぶと、知識がスムーズに定着します。
遠回りのように思うかもしれませんが、簿記を学んでしっかりとした土台・知識を身に付けた上で、建設業経理士を学び始めたほうがいい結果につながるでしょう。

 

建設業経理士の将来性

建設業経理士は特殊な資格なので、将来性が不安と思う方も多いかもしれません。
そこで、これから転職しようと考えている方に向けて、建設業経理士の将来性について紹介します。

安定した業界かつニーズの減らない仕事

建設業界は国のインフラを支える仕事であり、建設業経理士も同じく建設業界の知識を豊富に備えた経理として、欠かせない存在です。そのため建設業経理士のニーズが減ることはないと考えられるでしょう。
金融機関からの資金調達をする際にも、建設業経理士の作った書類が必要となり、この職種は建設業が存在し続ける限りニーズが減ることはないと考えられます。建設業界で長期的に経理の仕事を続けたい方には最適な職種と言えるでしょう。

 

正社員での募集が多い

正社員として働きたい方にとっては、建設業経理士はおすすめです。経理として契約社員の形態で働いていた方は、建設に関する専門知識を習得することで転職に有利になります。また、建設業経理士2級の資格を取得していれば、条件交渉の際も有利に働くでしょう。
正社員として働きたい方にとって建設業経理士は経理職の中でもおすすめの職種であり、建設業経理士は建設業界に特化した資格でもあるため、専門性が高く重宝されます。

 

まとめ

建設業経理士は、建設業経理に関する知識と処理能力の向上を図るための資格の一つです。この資格を有していると転職や昇給にも有利に働くため、すでに経理の経験がある方もそうでない方も建設業界でスキルアップを図りたい人にはオススメの資格です。

 


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