AutoCADの学習方法を解説!習得したらどんな分野で活躍できる?
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CAD
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AutoCADの学習方法を解説!習得したらどんな分野で活躍できる?

2022年7月8日

AutoCADは数あるCADの中でも国内シェア1番のソフトであり、世界的にも高いシェアを誇っており、様々な業界などで幅広く利用されている汎用ソフトです。
そこで本記事では、AutoCADの概要や特徴、活躍できる分野、バージョンの違い、学習方法について解説します。
AutoCADの操作技術を習得することにより様々な業界でCADスキルを活かし、ものづくりに貢献することができます。

 


 

AutoCADとは?

AutoCADは、Autodesk社が制作・販売するCADソフトで、2D・3Dの2種類の図面を作成することが可能です。建築・土木・設備・測量・機械・電気・造船・航空・自動車・アパレル業界など、様々な業界でAutoCADが利用されています。

AutoCAD製品機能比較

AutoCADの製品であるAutoCADとAutoCAD LT、AutoCAD PLUSの機能を下表にまとめました。

AutoCAD LT AutoCAD AutoCAD PLUS
2D作図および編集ツール 2D作図および編集ツール 2D作図および編集ツール
Web/モバイルアプリ Web/モバイルアプリ Web/モバイルアプリ
Trusted DWGテクノロジー Trusted DWGテクノロジー Trusted DWGテクノロジー
3Dモデリングとビジュアライゼーションツール 3Dモデリングとビジュアライゼーションツール
APIとアドオンアプリ
(CALS Tools:無料)
APIとアドオンアプリ
(CALS Tools:無料)
CAD標準仕様 CAD標準仕様
Express Tools・データ書き出し Express Tools・データ書き出し
7つの業種別ツールセット(表2参照)

※参照元:AutoCAD

 

AutoCAD LT販売終了

AutoCAD LTは、2021年6月6日をもって新規サブスクリプションライセンス販売を終了しました。ただし、現在契約中のAutoCAD LTであれば、今後も更新して利用し続けることができます。

 

AutoCADの特徴

AutoCADの主な特徴として、シェアや拡張性の高さ、ツールセットの充実が挙げられます。

シェア率が高い

CADソフトには、JW CAD、VectorWorks、SolidWorks、CATIAなど様々な種類があります。
その中でも一番のシェアを確保しているのが、AutoCADです。特に利用されているのが建設業界の大手ゼネコン企業で、シェアを押し上げています。

 

拡張性が高い

AutoCADは以下などの特徴から、拡張性が高いと言われています。

  • Autodesk App Storeの拡張機能によりAutoCADのカスタマイズが可能
  • Autodeskの他製品・サードパーティーのアドオンソフトとの連携により、様々な業界に特化した専用機能などの付加が可能

 
様々な機能を分野に応じて使い分けることにより、各種業務に応じて最適な作図が可能となります。

 

ツールセットが充実している

7つの分野に特化したツールセットがあり、設計用途に応じた使いやすさに改良されている点も特徴の一つです。ツールセットを利用して完了したタスクの生産性が平均して63%向上したとAutodesk社は公表しており、これは上記の拡張性の高さにも通じます。
各ツールセットを下表にまとめました。

ツールセット 概要
Architecture
(建築設計者向けの
専用ツール)
  • 8,500点を超える建築コンポーネントが揃ったライブラリにアクセス(マルチレベルブロックを含む)
  • 平面図、立面図、断面図、天井グリッドを自動的に生成
  • 実際の施工環境に合わせて、壁、ドア、窓をすばやく配置
Mechanical
(機械エンジニアリング
向けの専用ツール)
  • 規格に準拠した部品、ツール、カスタムコンテンツのライブラリ
  • オブジェクトタイプのカスタマイズ可能なプロパティと、それを作成するためのカスタム画層
  • 部品表(BOM)の自動化
Electrical
(電気制御設計の
専用ツール)
  • 65,000点を超えるインテリジェントな電気シンボルのライブラリにアクセス
  • 配線の番号付けとコンポーネントタグの生成を自動化
  • カスタマイズした複数のレポートを自動的に生成および更新
Map 3D
(CADとGISのシームレスなデータ集約)
  • フィーチャデータオブジェクト(FDO)技術を使用して、空間データに直接アクセス
  • 地理空間データを直接編集
  • エンタープライズインダストリモデルを使用してインフラストラクチャシステムを管理
Plant 3D
(コラボレーションとP&ID)
  • クラウドベースの共有データ環境で安全に共同作業
  • コンテキスト内コマンドでP&ID図面と3Dモデリングを高速化して自動化
  • 3Dモデルから直接、配管アイソメ図面を自動的に作成
Raster Design
(強力なベクトル化ツールを使用して作業時間を短縮)
  • イメージの編集とクリーンアップの作業効率を高めるツールを使用
  • 標準のAutoCADコマンドを使用してREMオブジェクトを編集
  • ベクトル化ツールを使用してワークフローを簡略化
MEP
(機械、電気、給排水衛生設備向けの専用ツール)
  • 10,500点を超えるインテリジェントなMEP
  • 個別のパレットとドメイン固有のリボンでワークフローを最適化
  • 変更の発生に応じて図面、シート、集計表を自動的に更新

※参照元:AutoCAD

 

AutoCADはどんな分野で活躍できる?

AutoCADは、建築・土木・設備・測量・造船・航空・自動車・家電業界など様々な業界で利用されています。
【例】

  • 建築分野:マンション、戸建て住宅、オフィス、商業施設などの基本設計・詳細設計
  • 土木分野:道路、橋梁、トンネル、擁壁、造成地、河川・港湾施設などの基本設計・詳細設計
  • 自動車分野:普通自動車、特殊車両などの基本設計・詳細設計

 
AutoCADの操作技術をマスターしておけば、様々な業界で人材の需要は高いといえるでしょう。

また、最近では設計図を基にして、3次元アニメーション制作のためのデータ加工やカタログ、パンフレット制作、プレゼン用資料として平面図や立面図の3次元加工など、CAD関連業務も多様化しています。

 

AutoCADのバージョンの違い

AutoCADは、「有料版」「無料体験版」「学生版」と、3つのバージョンをラインナップしています。

有料版

機能としては、2次元製図、3次元モデリング・ビジュアライゼーションなどがあります。

● 機能

AutoCAD製品機能比較で記載した機能が利用可能です。

● 価格

「1か月契約」「1年契約」「3年契約」の一定期間内において、アプリの使用権利を購入するサブスクリプションスタイルにてユーザーに提供されます。

アプリ 1か月契約 1か月契約 3年契約
AutoCAD 8,800円 71,500円 203,500円
AutoCAD Plus 28,600円 231,000円 658,900円

※参照元:AutoCAD

● 利用期間

契約期間内での利用となります。

 

無料体験版

業務に導入を検討する場合、まず「無料体験版」を利用して試用すると良いでしょう。

● 機能

AutoCAD製品機能比較で記載した機能が利用可能です。

● 価格

無料

● 利用期間

インストールから30日間

 

学生版

学業でAutoCADの導入を検討する場合、「学生版」を利用することが可能です。

● 機能

AutoCAD製品機能比較で記載した機能が利用可能です。

● 価格

無料

● 利用期間

インストールから3年間

 

AutoCADの学習方法

AutoCADの学習方法として独学や通学、未経験で就職して学ぶ方法などがありますが、それぞれメリット・デメリットがあります。

テキストで独学

AutoCADはCADソフトの中でもシェアが高いので、様々な解説本が発行されています。それらを利用して操作技術を身につけることが可能です。
また、YouTubeやLinkedInといったSNSを利用して、無料解説動画を受講する方法も有効です。
独学のメリット・デメリットを下表にまとめました。

メリット デメリット
  • 費用は書籍代のみとなり安価
  • 無料体験版で30日間利用可能
  • 自身のペースで勉強可能
  • 書籍が豊富のため、自身の操作技術習得度合いに応じてどのレベルからでも勉強可能
  • モチベーション維持が困難で挫折しやすい
  • 習得までに時間を要する
  • 質疑事項を自身で検索する必要性あり
  • 操作が合っているのか間違っているのか不明

 

スクールや職業訓練に通う

スクールや職業訓練校に通い、AutoCADの技術操作を身に着けたプロスタッフに学ぶ方法もあります。要点を押さえながら学ぶことができますので、技術操作の習得に確実性が増すでしょう。
通学のメリット・デメリットを下表にまとめました。

メリット デメリット
  • 短期間で技術操作の習得可能
  • 質疑事項を質問可能
  • モチベーションを維持しやすい
  • 教育訓練給付金制度の条件を満たせば助成金受給可能
  • 卒業後の就業支援制度が整備されている学校あり
  • 高額の費用がかかる
  • 通学の費用・時間・手間がかかる
  • 自身のレベルに合わない可能性あり

 

未経験歓迎のCADオペレーターとして就職する

AutoCADの未経験者でも、CADオペレーターとして育成する研修制度が整備された企業に就職し、学びながら習得する方法もあります。
未経験者で就職しながら学ぶメリット・デメリットを下表にまとめました。

メリット デメリット
  • 費用がかからない
  • 就職先の分野に特化した操作技術を習得可能
  • 質疑事項を質問可能
  • 業務ペースに合わせる必要があるため、初心者はとまどいやすい
  • 作成期限・ノルマなどがある場合、初心者はとまどいやすい
  • 操作ミスが業務進捗に影響

 

AutoCADに関するよくある質問

AutoCADに関するよくある質問に対して解説していきます。

AutoCADを無料で使い続けることはできる?

AutoCADを無料で永久に使い続けることはできません。しかし、設定期限内で使い続けることはできます。
AutoCADの無料体験版の場合は、インストールしてから30日間は無料で使い続けることができます。
また、AutoCADの学生版の場合は、学生と教育機関関係者に対して最大3年間の無料利用ライセンスが与えられます。
なお、以下の制約がありますので注意が必要です。

  • 技術サポートは付いていない
  • 実務で使用できる図面作成はできない

 

AutoCAD LTとの違いは?

AutoCAD LTは、2Dに特化したCADソフトであり、一方でAutoCADは2D、3D、3Dモデリングまで可能なCADソフトです。
2D作業しか行わない場合はAutoCAD LTでも十分に業務をこなすことが可能ですし、高いパフォーマンスを十分に発揮できます。

 

AutoCAD LTを使い続けることはできる?

上記でも触れましたが、AutoCAD LTは、2021年6月6日をもって新規サブスクリプションライセンス販売を終了しました。ただし、現在契約中のAutoCAD LTは今後も更新して利用し続けることができます。現時点(2022年5月)で利用できなくなるというアナウンスは出されていません。

 


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