2022年6月1日
土木の現場管理職で「施工管理技士」の資格を所有していると、主任技術者や監理技術者になることができます。その中でも「1級土木施工管理技士」は最も難易度が高い試験であるため、試験に合格すると大型物件の管理者として様々な経験を積むことができるでしょう。とはいうものの「1級土木施工管理技士」になるためには、受験資格をクリアした上で、受験内容を把握し対策を練る必要があります。
そこで今回は、1級土木施工管理技士の資格について詳しく解説します。受験を控えている方や受験を検討中の方はぜひ最後までご覧ください。
そもそも土木施工管理とは、土木工事の総監督として施工計画の作成や品質管理、安全管理などを行う管理者を指します。
土木施工管理技士の資格には1級と2級があり、1級土木施工管理技士は2級の上位資格になります。この資格は国家資格の一つであり、知識と経験をもった管理者の証でもあります。
土木施工管理技士の資格を有していると、中規模や大規模の現場で責任者として業務に就くことができるため、土木関係の仕事でスキルアップを目指している人は取得すべき資格のひとつです。
土木施工管理技士の資格は、一般財団法人全国建設研修センターが主催する2回の試験に合格した人が得られます。
試験の内容は学科と実地で、知識や経験を問われる問題が多数出題されます。とくに1級は問題の難易度が高く設定されているため合格率が低い傾向にありますが、その分合格すると施工管理としての評価が上がり、昇給や昇進に繋がることも少なくはありません。
ただし、受験するためには受験資格が必要になるので、まずは自分に受験資格があるかどうかを確認しましょう。
土木施工管理技士の平均年収は480万円前後と言われていますが、1級の資格を取得すると年収がさらに上がることが多く、1級土木施工管理技士の平均年収は480万円〜700万円ほどと言われています。
年収が上がる理由は、土木工事の専門家としての評価が得られることと、仕事での活躍の幅が広がることにあります。また、転職時の条件交渉でも有利に働くため、土木関係の仕事を検討中の方にはオススメの資格です。
ここでは、1級土木施工管理技士の資格を取得するメリットを3つ解説していきます。
一つ目は「転職やキャリアアップに有利」になることです。施工管理としての転職はもちろんのこと、別の職種に移る際も有利です。
インフラの整備や都市開発などの仕事に興味のある方は、1級土木施工管理技士を取得すると色々な分野の仕事に携わることができます。
二つ目は「企業からの評価が上がる」ことです。1級土木施工管理技士は建設業界の中でも最高位の資格となるため、資格を取得すると昇給や昇進のチャンスが増えます。
実は、従業員に資格保持者がいると国から企業へ「技術評価点」が付与されます。1級の取得者は国からの評価が高いこともあり、社内評価も比例して高くなります。
三つ目は「できる業務の範囲が広がる」ことです。先ほど説明した通り、1級の資格保有者は主任技術者だけでなく監理技術者として配置できます。
より大規模な物件や難易度の高い仕事を任されることとなり、様々な経験を積むことができるでしょう。
土木業界は国のインフラを支える大切な仕事で、年々需要が増えています。その一方で施工管理者は人手不足の状態が続き多くの企業で求められており、その中でも1級土木施工管理技士の資格保有者は即戦力として認識されます。
また、1級土木施工管理技士の資格は土木施工管理のプロフェッショナルの証となるため、施工管理の現場仕事だけでなく、マネージャー職への異動や発注側への転職もできます。
このように、1級土木施工管理技士の資格は様々な分野から重宝されています。業界の様子や選択肢の広さから、1級土木施工管理の将来性は安定していると言えるでしょう。
続いて、1級土木施工管理技士の試験の特徴について説明します。
1級土木施工管理技士には受験資格があります。必要な実務経験年数や開催時期などを確認し、試験対策のスケジュールを考えましょう。
1級土木施工管理技士の試験には、第一次検定(学科)と第二次検定(実地)の2種類があり、試験は年2回です。
前期は第一次試験のみで、後期は第一次試験と第二次試験の両方が行われます。
1級土木施工管理技士の第一次検定(学科)では、四肢択一のマークシート方式で出題されます。
第一次検定(学科)の試験内容は以下の通りです。
科目 | 内容 | 出題数 | 解答数 | 出題形式 | 解答形式 |
---|---|---|---|---|---|
土木工学等 | 土木一般 | 15問 | 12問 | 選択 | 四肢択一 |
専門土木 | 34問 | 10問 | |||
法規 | 法規 | 12問 | 8問 | ||
土木工学等 | 共通工学 | 4問 | 4問 | 必須 | |
施工管理法 | 施工管理法 | 16問 | 16問 | ||
施工管理法 (能力問題) |
15問 | 15問 |
試験内容は、土木一般、専門土木、法規、共通工学、施工管理で、全96問のうち65問を解答します。土木一般と専門土木、法規に関しては自分で問題を選択して解答できますので、一部わからない問題があっても問題はありません。
一方で共通工学や施工管理に関しては必須解答なので、確実に答えられるよう準備が必要です。
出題数の多い施工管理や土木一般などから試験準備を始めると、効率的に試験対策が行えるためオススメです。
1級土木施工管理技士の第二次検定(実地)は、テーマに沿ってご自身の経験を述べる記述式問題です。
第二次検定(実地)の試験内容は以下の通りです。
科目 | 出題数 | 解答数 | 出題形式 | 解答形式 |
---|---|---|---|---|
施工管理法 | 1問 | 1問 | 必須 | 記述 |
2問 | 2問 | |||
4問 | 2問 | 選択 | ||
4問 | 2問 |
出題数は全11問で、そのうちの7問を選択して解答します。
合格は60%以上の正解となっており、専門的な知識とご自身の経験を交ぜた解答が必要になります。
また、限られた時間で正確に解答しなければならないので、解答を事前に用意して時間内に書く練習もしておきましょう。試験対策では、時間を計りながら練習することをオススメします。
1級土木施工管理技士の受験資格は下記の通りです。最終学歴によって必要な経験年数が異なります。まずは受験に必要な経験年数を確認しましょう。
※参考元:https://www.jctc.jp/exam/doboku-1
第一次検定の平均合格率は60%前後、第二次検定の平均合格率は35%前後です。
令和3年度から、施工管理技術検定の制度が大きく変わっています。従来の「学科試験」の問題を基本として、今までの「実地試験」の問題の一部が追加されました。
また、第一次検定に合格することで「施工管理技士補」の資格が得られるようになり、今までよりもきちんと対策を行ってから受験する人が増えたことが推測できます。
試験自体は決して難易度の低いものではありませんが、しっかり対策をすることで合格率を上げることができるでしょう。
1級土木施工管理技士の試験は、決して簡単なものではありません。とはいうものの、合格率から伺えるように試験対策をしっかりすれば合格は十分に狙えます。
ただし受験するためには経験年数が必要になるため、まずは受験するための準備が必要です。建設系の企業で実務経験を積みながら、試験対策を行うとよいでしょう。
最後に、1級土木施工管理技士のオススメの勉強方法について紹介します。自分の生活に合わせて、取り組みやすいものから始めてみましょう。
一つ目は、過去問や参考書を使った独学方法です。書店で売っているテキストを購入し、まずは一通り勉強を始めてみましょう。最新版の参考書を購入すると、去年の試験傾向をおさえながら勉強することができます。
施工管理職に長年携わっている方でも、試験対策は欠かさず行う必要があります。業務では触れてこなかった分野なども出題されるので、最初から最後まで勉強することをオススメします。
また、慣れてきたら過去問に挑戦するのもよいでしょう。何度か解いてみて、慣れてきたら試験時間を測りながら挑戦すると、効果的な試験対策になります。
二つ目は通信講座を受けることです。最近では通信講座やオンライン教材が増えてきており、ご自身の生活に合わせて勉強しやすくなりました。業務が多忙で学校に行く時間がない方や、スキマ時間を有効活用したい方にオススメです。
また、講師から授業を受ける通信講座では、わからないことを質問することができます。誰かと一緒に勉強すると勉強が楽しくなるので、独学が難しい方は積極的に活用してみましょう。
三つ目は資格学校に通うことです。学校に通うと勉強時間が確実に確保でき、効率的に勉強できるようになります。
独学では一通り勉強することをオススメしますが、学校であれば講師が出題傾向を教えてくれますので、優先順位の高いものから勉強を進めることができます。
また、対面の学校であれば一緒に勉強する仲間ができます。勉強のモチベーションが高まり、仕事の情報交換もできるかもしれません。人との交流が好きな方にはオススメの勉強方法と言えるでしょう。
試験勉強に必要な時間は人それぞれですが、だいたい500〜700時間を目安として計画しましょう。初めて受験する方は700時間ほど、2回目以降の方はご自身の知識量に合わせて調整するとよいでしょう。
1級土木施工管理技士は、難易度の高い試験です。まずは平日2時間を目安に、土日も使って勉強計画を考えてみることをオススメします。勉強時間を確保して対策を進めれば、独学でも合格が狙えますので、試験日から逆算して勉強計画を立ててみましょう。