2022年5月11日
分譲マンションなどの案内広告や賃貸サイトなどには建物の工法・構造などが掲載されていますが、特にタワーマンションなどになるとSRC造やRC造の工法が多くなります。
そこで今回は、SRC造の概要や他の構造(RC造・S造・W造)との違い、メリット・デメリットの比較について解説します。
安全・安心という点で、SRC造は最も優れた構造であることがわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。
SRC造の概要やメリット・デメリットについて解説します。
SRCはSteel Reinforced Concreteの略で、SRC造は鉄骨鉄筋コンクリート造という鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせた構造を指します。
SRC造は、H形鋼などの鉄骨の柱や梁の周りに鉄筋を組み立て、型枠工事を施してからコンクリートを流し込み施工します。したがって、RC造(鉄筋コンクリート造)よりも細い柱や梁断面で高耐力の構造物を施工することができるため、タワーマンションや高層ビルなどの高層建築物に採用されています。
SRC造の法定耐用年数は、47年になります。法定耐用年数とは、国税庁が昭和40年代に建物の減価償却期間として規定したものです。それから約半世紀経過した現代の技術進歩は著しいため、実際のSRC造の寿命は通常のメンテナンスがされればその2倍は大丈夫であるといわれています。
ここでは、SRC造のメリットとデメリットについて何点か挙げて解説していきます。
SRC造の主なメリットは、他の構造と比較して耐火性・耐震性・遮音性が優れている点です。SRC造は、柱と梁の結合部が剛となりラーメン構造を形成しているため、地震や風力による揺れを分散し、変形に強い構造体となっています。
また、鉄骨や鉄筋の周りをコンクリートで覆っているため火災に強い構造となります。
鉄骨が入っている分、RC造よりも柱や梁の断面積を小さくすることができ、部屋の面積を大きくすることができる点もメリットのひとつです。
SRC造のデメリットは、建築費が高騰するためマンションやオフィスビルなどの分譲価格や賃貸料も高騰する点です。
また、鉄骨と鉄筋コンクリートを併用するため、RC造のような自由な設計が困難な点や工事が長期化してしまう点もデメリットといえるでしょう。
SRC造以外のRC造やS造、W造との違いを解説していきます。
RCとはReinforced Concreteの略で、RC造は鉄筋コンクリート造のことです。
主要構造部(柱・梁・床・壁・屋根・階段)に鉄筋を張り巡らし、その周辺を型枠で組み、コンクリートを流し込んで養生しながら施工します。
鉄筋は引張力に強く圧縮力に弱いという特徴があり、コンクリートは引張力に弱く圧縮力に強いという特徴があります。そのため鉄筋コンクリート造は、鉄筋とコンクリートのお互いのメリット・デメリットを活かし補完し合いながら耐力性・耐久性・耐震性・遮音性・耐火性の高い構造物を形成します。
SRC造のように鉄骨が入らないため設計自由度は増しますが、主要構造部の断面積は大きくなり自重が増加するため、基礎工事の強化が必要となり経済性は悪くなります。
SとはSteelの略で、S造は鉄骨造のことです。
S造は主要構造部のうち、柱や梁・屋根の部分に鉄骨を用いる構造です。鉄骨は、工場にて造られ現地に運搬されて組立てるため、品質は安定します。
また、柱と柱の間にある梁の長さを大きくすることができるため、広い開口部を取れるなどのメリットがあります。しかし、SRC造やRC造と比較して経済性は優れますが、耐震性・耐火性・遮音性などは劣ります。
WはWoodの略で、W造は木造のことです。W造は戸建て住宅や低層アパートなどに広く採用される構造です。
木造には、古くから用いられてきた木造軸組工法(在来工法)や欧米から入ってきたツーバイフォー工法(枠組み軸組み工法)があります。
一番のメリットは経済性であり、地場の建設会社や工務店などで広く採用され、他の構造よりも建物を安く造れます。その一方で、耐久性・耐震性・耐火性・遮音性などは他の構造よりも劣ります。
上記で解説したSRC造・RC造・S造・W造を、耐火性・耐震性・遮音性・コストの点で比較すると下表の通りです。
構造 | 耐火性 | 耐震性 | 遮音性 | コスト |
---|---|---|---|---|
SRC造 | ◎ | ◎ | ◎ | ✕ |
RC造 | ◎ | ◯ | ◎ | △ |
S造 | △ | △ | △ | ◯ |
W造 | ✕ | ✕ | ✕ | ◎ |
SRC造は、他の構造と比較して耐火性・耐震性・遮音性に優れますが、コストは一番高くなります。
他にも、SRC造は気密性や蓄熱性についても優れますが、工期は一番長くなる点がデメリットとなるでしょう。
SRC造の概要や他の構造(RC造・S造・W造)との違い、メリット・デメリットの比較について解説しました。SRC造は鉄骨鉄筋コンクリート造のことで、超高層ビルやタワーマンションなどの大規模建築物に多く用いられてきた構造です。その性能は、他構造と比較し耐火性・耐震性・遮音性・気密性・蓄熱性に一番優れています。その反面コストが一番高くなり、工期も長くなるというデメリットもありますが、安全・安心という点では最も優れた構造といえるでしょう。