2022年4月4日
「S造」とは、Steel(鉄)の頭文字をとった鉄骨造の略称で、マンションやアパートに多い構造です。建物の構造は「S造」の他にも、RC造やSRC造などさまざまな種類があります。
そこで今回は「S造」をテーマに、他の構造との違いやメリットについて解説します。建築構造の基礎となる知識なので、ぜひ最後までご覧ください。
S造とは、建物の骨組みに「鉄」を使用した構造です。マンションやアパートのイメージがありますが、その他にも倉庫、工場、体育館といった大空間建築物まで幅広く使われています。
鉄には「軽い」「強い」「粘り強い」という特徴があります。そのため木造では難しいとされる、体育館や高層ビルといった大きな空間の建設で採用されています。
S造をさらに細かく説明すると、素材の厚みによって呼び方が異なります。厚さ6mm以上の材料を使うときは「重量鉄骨造」、そして厚さ6mm未満の材料を使うときは「軽量鉄骨造」と呼びます。
重量鉄骨造を建設する場合、柱や梁を溶接により接合し枠を一体化します。いわゆる「鉄骨ラーメン構造」を使って建てていきます。ラーメン構造は設計の自由度が高いというメリットがあり、様々な空間に用いられています。
その一方で軽量鉄骨の場合は、柱や梁をボルト接合で固定する「鉄骨軸組工法(ブレース工法)」が使われています。これは木造の在来工法と同じ工法で、柱や梁が木の代わりに鉄骨で構成されています。
同じ「S造」といっても、使用する素材の厚みによって工法や構造が異なりますので、合わせて覚えておくとよいでしょう。
S造の他にも、「RC造」「SRC造」「W造」といった構造があります。以下ではそれぞれの構造について解説します。
RC造とは、柱や梁などの主要構造部を鉄筋コンクリートで構築している建物構造です。耐火性・耐震性に優れており、都心の高層マンションやビルで多く採用されています。
SRC造とは、柱や梁などの主要構造部を鉄筋コンクリートと鉄骨で構築している建物構造です。鉄筋とコンクリートの中に「鉄骨」が加わるため、より丈夫な建物が完成します。
W造は、柱や梁などの主要構造部を木材で構築している建物構造です。戸建て住宅などで使われる工法で、コストの抑えられる点と短期間で施工できる点がメリットです。
上記で解説した通り、S造とRC造は使用されている素材が異なります。これによりS造とRC造には、建物の特徴に違いがあります。以下ではS造とRC造の違いについて解説します。
S造(鉄骨造) | RC造(鉄筋コンクリート造) | |
---|---|---|
使用素材 | 鉄 | 鉄筋+コンクリート |
耐震性 | ◯ | ◎ |
耐火性 | △ | ◎ |
通気性 | ◎ | △ |
遮音性 | △ | ◎ |
S造とRC造の大きな違いは、使用素材にあります。S造は「鉄」を柱や梁の材料として建てていきます。鉄は木よりも丈夫な素材であるため、W造(木造)よりも耐震性は高いですが、RC造よりは劣ります。
また、鉄は熱に弱い性質があるため、 火事によって燃焼温度が上昇すると鉄骨の強度は低下します。その一方でRC造は高い耐火性能を有しており、万が一火災が生じたときも主要構造部まで燃えることはありません。
RC造は鉄筋にコンクリートを流し込んで固めたものを柱や壁に使っているため壁の間に空洞ができにくく遮音性に優れていますが、S造は壁や床に薄くて軽い素材を使用しているため遮音性が低くなる特徴があります。
ただし、通気性はS造の方が優れています。RC造はカビや結露が発生しやすいので、換気や通気の工夫が必要になるでしょう。
最後に、S造に関するメリットとデメリットを紹介します。
S造は、主要構造部に鉄を使った建物で、マンションや大規模な空間で使われている構造で、その中でも使用する素材の厚みによって「重量鉄骨造」と「軽量鉄骨造」に分かれています。建設業界ではよく使う言葉なので、特徴やメリット・デメリットを含めて覚えておきましょう。また、建築構造にはS造の他にもRC造、SRC造、W造などの種類があります。それぞれの特徴も合わせておさえると、さらに理解が深まるでしょう。