今注目のBIMとは?日本の普及状況やメリット・デメリットについて解説
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今注目のBIMとは?日本の普及状況やメリット・デメリットについて解説

2022年3月1日

建設業界を中心に現在注目されているBIMは、従来の作図ソフトとは異なる概念で今後の建築設計において必須スキルとなるでしょう。
そこで今回は、BIMの概要と現在の普及状況について詳しく解説します。また、メリット・デメリットもあわせて紹介しているので、BIM検討中の方や使い始めの方はぜひご覧ください。

 


 

BIMとは?

BIMとは、Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)の略称で、コンピューター上に設計建物の立体モデルを作成し、設計作業を行う手法を指します。
従来の2D CAD(二次元)の場合、平面・立面・仕上げなど1枚ずつ作図しなければなりません。そのため作業や図面修正に時間がかかるというデメリットがありました。
しかしBIMの場合、三次元の建物のデジタルモデルに対し、建物を形作る「形状情報」と、構造を示す「属性情報」を盛り込み作図をしていきます。大枠の図面を作成した後で必要箇所を切り取るため、各図面の整合性がとれた正確な図面が作成できるのです。
さらに、この大枠のデータを修正すると切り取った図面も自動修正されるため、修正ミスが減り、設計者と施工者の意思疎通がスムーズになるでしょう。
両者の業務が効率的になるため、近年では大手設計事務所やゼネコンを中心に採用されています。

 

なぜBIMが重要なのか?

従来の方法であれば、設計側は設計図を作成し、施工側は施工図を作成します。それぞれの図面からさらに情報が枝分かれするため、建築物に関するデータが分散していました。そのためミスが発生しやすく、作業手間も発生していました。
しかしBIMでは、コンピューター上に作成した3Dモデルに複数の図面が自動生成され、設計から施工、さらには維持管理までのあらゆる情報を一元化します。BIMで使用する建材パーツや建具などには、あらかじめ寸法のデータや施工に関する情報、積算に必要な材料のデータなどが入力済みのため、各所とのやりとりがスムーズになり、効率的な作業が可能になるのです。

 

日本のBIMの普及状況

令和3年に行った国土交通省の調査によると、「導入している」と回答した企業が46%、その一方で「導入していない」と回答した企業が53%でした。その中でも設計分野は、総合設計事務所の導入率が約80%、専門設計事務所が約30%と回答が分かれました。
また、施工分野については、総合建設業、専門工事会社のいずれも50%の導入率で、今後の普及が期待できます。

 

3D CADとの違い

BIMは従来の3D CADと大きく異なるため、作図概念や操作方法も異なります。BIMスキルを取得する場合は、3D CADとは異なる知識が必要です。
ここでは、3D CADとの大きな違いは下記の2点にあります。

  • 作図手順
  • 修正の一部自動化

作図手順

一つ目は「作図手順」の違いです。従来の3D CADはまず二次元の図面を作成してから三次元の形状を組み立てます。その後CGなどでシミュレーションをする流れなので、まずは二次元の図面が必須になります。
しかし、BIMの場合は三次元の図面を最初に作成し、必要に応じて二次元図面に展開するという流れになります。つまり従来のような二度の作図工程は不要になるため、操作に慣れている場合は作業時間の短縮が見込めるでしょう。

 

修正の一部自動化

二つ目に「修正の一部自動化」がBIMの特徴として挙げられます。3D CADの場合、図面修正が発生した際は2Dと3Dそれぞれを修正する必要がありました。そのため修正漏れが発生しやすく、図面の整合性が取れていないこともあったでしょう。
しかしBIMの場合、三次元のデータを修正すると二次元データも自動修正されます。そのため修正ミスが減り、図面上で正確な指示が可能になるのです。

 

BIM導入のメリットとデメリット

続いて、BIM導入のメリットとデメリットについて解説します。

メリット① 設計・管理の作業手間削減

従来の方法ではそれぞれの図面を1枚ずつ作成するという手間のほかに、修正が発生した際の修正漏れや、整合性が取れていないという可能性がありました。
一方でBIMの場合は、設計に関するあらゆる情報がすべて連動している状態であるため、一つの変更点を一括で自動修正・管理することができ、作業効率の改善が期待できます。

 

メリット② 2Dよりも直感的な操作が可能

BIMのような三次元図面は、建物の全体像が把握しやすくなります。二次元の図面よりも直感的な操作が可能になり、さらにイメージが伝わりやすいというメリットがあります。
2Dの場合それぞれの図面に必要な情報が分散しており、情報の整理に時間がかかっていましたが、BIMでは情報が集約されているので、設計だけでなく施工側もメリットになると言えるでしょう。

 

デメリット① 操作できる人材が少ない

BIMは比較的新しいソフトです。そのため2D CADや3D CADと比較すると、扱える人材が少なく、導入出来ない企業も多いでしょう。
従来の設計手順とは異なるため、新たにスキルを取得する必要があります。高性能のため、操作が難しいという点はデメリットのひとつと言えるでしょう。

 

デメリット② 導入に費用がかかる

BIMを導入する場合、BIMソフトの本体費用や対応できるパソコンの導入費用など、様々なコストが発生します。
また場合によっては、BIMを操作できる社員を育成するための研修費なども必要です。企業としてBIMを本格導入する場合は複数台導入するケースが多いので、相応の予算が必要になるでしょう。

 

代表的なBIMソフトウェア

最後に代表的なBIMソフトを紹介します。無料で使えるツールは現在ないようなので、体験版や学生版などで試してみるとよいでしょう。

Autodesk Revit

AutoCADで知られるAutodesk社が開発するBIMソフトです。適応業務は、建築設計・構造エンジニアリング・機械・電気・配管および建築施工と幅広く対応しています。クラウド機能があるので、チームでの共同作業にオススメです。

 

ARCHICAD

ハンガリーのGRAPHISOFT社が開発・提供するBIMソフトです。レイヤーの概念を残した設計ソフトなので、一般的な2D・3D CADソフトと近い感覚で操作できます。

 

まとめ

BIMは、設計の手間を大幅に削減する画期的な設計ソフトであるということが分かったかと思います。まだ2D CADや3D CADで作図を行っている業種も、近々BIMへ移行するかもしれません。
従来のCADとは異なる設計概念であるため、操作できるようになると各企業から重宝されるでしょう。

 

 


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