2021年10月19日
CADオペレーターは、建設業、自動車製造業、電子機械製造業などの様々な業界で活躍できます。リモートで仕事もしやすいため、現在注目を集めている職種です。
しかしCADオペレーターの実務は認知されていないことが多く、「経験者しかCADオペレーターになれないのでは?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
そこで今回は、未経験者がCADオペレーターを目指すための方法を詳しく解説します。勉強方法や転職方法についても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
CADオペレーターとは、設計士やデザイナーのスケッチに基づき、図面を修正・調整・製作する人のことです。使用ソフトは業界や企業によって異なり、図面の形式も2Dや3Dと多様になっています。
CADオペレーターという仕事ができた当初は「手書き図面をデータ化する」という仕事が主流でしたが、最近では2Dを3Dに落とし込む業務やラフスケッチを詳細図にするなど仕事内容も幅広くなっています。そのため3D CADが使えるCADオペレーターは各企業から重宝されており今後も高い需要が見込めますので、これからCADオペレーターを目指す方は、3D CADの勉強も始めてみましょう。
CADオペレーターの仕事内容は大きく下記の3つです。
・打ち合わせ
・作図
・修正
CADオペレーターのクライアントは、設計者やデザイナー、工事関係者がほとんどです。
まずはクライアントと打ち合わせを行い、どのような方向性で作図するか「依頼内容」を確認します。
図面といっても、デザインを図面に落とし込んだ「設計図」と、施工方法を盛り込んだ「施工図」がありますので、クライアントの求めるレベルを確認し、依頼内容を把握しましょう。また、合わせて納期と納品方法(データ形式)を確認することをオススメします。
その後はメインとなる「作図」に移ります。打ち合わせでヒアリングした内容を基に、作図を行いましょう。すでに作図されたものを修正する場合もあれば、一から書き起こすこともあります。作業にかかる時間を把握して、期限内に提出しましょう。
このときに重要なのが「わかる範囲で極力書き上げること」です。作業中に不明点が発生しても、出来るだけ手を止めずに作図しましょう。クライアントへ都度質問するのもよいですが、相手の手間を考えるとあまりオススメはできません。クライアントへ質問するときは、たたきの図面と一緒に投げかけるようにしましょう。
作図後はクライアントからフィードバックがあるので、それを基に修正します。最後はPDFと基となるデータを納品して業務完了です。
CADオペレーターの仕事はこの流れで行うため、コミュニケーションスキルと作図スキルがあれば、完全リモートでも仕事ができます。また、フリーとして活動もしやすいので、将来的に独立を検討している方にはオススメの仕事です。
CADオペレーターが使用するCADソフトは、業界や所属する企業によって異なります。そのためCADの勉強を始める際には「どんなCADソフトを使用すべきか」のリサーチが必要です。
以下では建設業界でよく使われているCADソフトを紹介します。参考までにご覧ください。
・Jw-cad(ジェイダブリューキャド)
・VectorWorks(ベクターワークス)
・AutoCAD(オートキャド)
・REVIT(レビット)
これらのソフトには2Dと3Dの2種類があります。家具や内装系であれば、Jw-cadやVectorWorksのような2Dが主流ですが、建築系の場合はAutoCADなどの3Dがよく使われています。
また、無料版と有料版があるので、まったく触ったことのない方はまずはお試しで無料版を触ってみましょう。
CADオペレーターは技術職です。そのため「経験がないと転職は難しそう……。」と考える方も多いでしょう。
しかしCADオペレーターは、未経験の方でも転職可能な仕事です。その3つの理由を以下で解説します。
CADオペレーターは、建設やインテリア、自動車製造業など幅広い分野で求められています。そしてその大半が「人手不足」であるのが現状です。自社で作図しつつ、一部を外注する企業も多く、CADオペレーターは常に不足しています。そのため初歩的な作業ができる人や業界知識のある人は、未経験でも転職が可能です。
また、新人教育の一環としてCADソフトの使い方を教えたり、CADスクールの費用を援助する企業もあります。CAD未経験者は、このように学習補助の厚い企業へ転職するとよいでしょう。
CADオペレーターに限らず、技術職は誰でも「初心者の期間」があります。職種によっては「年齢」が原因で転職が難しいこともありますが、CADオペレーターはあまり関係ありません。CADに関する基本知識さえあれば、年齢を気にせず転職が可能です。
「未経験で転職」となると気になる点が条件とも言えますが、CADオペレーターは幅広い業界から求められているので、前職の経験が活かせる方も多くいます。
職種未経験の方は「業界経験者」という立ち振る舞いで転職をすると、条件交渉がスムーズになるでしょう。
CADスキルを学ぶテキストは数多く販売されており、独学も可能です。使用しているパソコンとCADソフトに合わせてテキストを選び、演習問題を繰り返すことで基礎スキルが身につきます。CADソフトの中には2D・3Dともに無料で使えるものもあるので、まずは勉強を始めて、好きかどうかをチェックしてみるとよいでしょう。
他にもCADスクールなどで勉強する方法もあるので、1人で継続が難しい方には講義スタイルもオススメです。企業に就職しなくとも勉強できるスキルなので、未経験の方はまず勉強から始めてみましょう。
このようにCADオペレーターは、未経験者でも転職が可能な仕事です。その背景には「本人のやる気を評価する」スタンスの企業が多く、「経験よりもやる気」が必要ということがわかるでしょう。だからこそ独自で勉強を行い、学ぶ姿勢を見せることが非常に大切なのです。
未経験からCADオペレーターになるためには、まずは転職活動前にCADに関する知識を身につける必要があります。
そこで以下では、未経験者の方がCADオペレーターを目指すための「勉強方法」について紹介します。
まず一つ目は「独学」です。これはCADオペレーターを目指す上で、最も手軽に始められる勉強方法になります。その中でもオススメなのがテキストと動画を使った学習法です。
テキストはCADソフトごとに様々な種類があるので、ご自身が使用するソフトの教材を選びましょう。テキストは必要な基本情報が全て集約されていますので、効率的に勉強したい方や、通勤中などの隙間時間に勉強を続けたい方はテキストがオススメです。
その一方で動画を使いながら学習すると、CADソフトの操作を効率よく覚えることができます。文章ではわからない部分が把握しやすくなるため、理解度も高まるでしょう。
このように、独学の場合はテキストと動画を使いながら勉強することをオススメします。
二つ目は「CADスクール」です。独学の場合、「勉強中に躓いてしまったときに解決することが大変」というデメリットがあります。しかしCADスクールであれば講師に質問できるので、都度解決しながら勉強が継続できます。
さらに、受講の曜日を固定することでCAD学習が習慣化され、着実にレベルアップが見込めるでしょう。
三つ目は「職業能力開発促進センター」です。これは求職者や在職者を対象にした短期間の職業訓練を行う公共職業能力開発施設のことで、CADの募集があれば無料で半年間受講できます。
ただし、ハローワークの場所や期間によって募集有無が異なるようです。職業能力開発促進センターでCADを学習したい方は、地域のハローワークに問い合わせてみましょう。
未経験者の方がCADオペレーターとして転職するときは、実務経験がなくても問題ない求人を選ぶ必要があります。
以下では、未経験者の方が転職する際のポイントについて解説します。
まずは未経験者でも取得できる資格に挑戦しましょう。
たとえば、CADに関する知識やスキルを明確化する「CAD利用技術者試験」や、全国建築CAD連盟(AACL)が主催している「建築CAD検定試験」、さらにはCAD利用に関する実務的な技術、技能の成果を認定する「CAD実務キャリア認定制度」などがあります。これらの資格を取得することで、実務経験がなくともCADの知識を有していることはアピールできます。受験期間や試験内容は資格によって異なるので、気になる資格を調べてみましょう。
続いて「未経験OK」の求人に応募しましょう。冒頭でも述べた通り、CADオペレーターは人手不足のため、多くの企業で未経験者を歓迎していますので、出来るだけ未経験者OKとしている企業にアプローチしましょう。
ただし、CAD未経験者でも業界知識のある場合は、経験者を優遇する企業に採用されることがあります。ご自身の経験が大きなアドバンテージを有している場合は、積極的に希望の企業へアプローチしてみてください。
そして「CADの勉強に対して、フォローアップがあるかどうか」も確認してみるとよいでしょう。「実務で教える」という企業もあれば、研修を行った上で業務になる場合もあります。
未経験者の場合は出来るだけフォローアップのある企業へ就職することをオススメします。とくに独学で勉強していた場合は、他人に教わることで視点が大きく変わることもあります。「いきなり実践は不安」という方は、研修の有無を確認しましょう。
CAD業務未経験者の方は、これらのポイントを意識して転職活動をするとよいでしょう。
また、転職エージェントを利用すると、ご自身の不安や疑問を解消しながら転職活動が行えますのでオススメです。
最後にCADオペレーターの資質がある人の特徴を5つ紹介します。以下に該当する方はCADオペレーターの仕事を検討してみてはいかがでしょうか。
まず一つ目は「ひとりで黙々と作業できる人」です。CADオペレーターはデザイナーの意図を形におこす仕事です。打ち合わせなどの業務もありますが、基本的な作図はひとりで黙々と作業しなければなりません。そのため「ひとりの作業を苦と感じず、どんな状況でも集中できる方」は、CADオペレーターの資質があると言えるでしょう。
次に二つ目は「約束を守れる人」です。どの仕事にも必ず「納期」がありますが、その中でもものづくり業界の納期はシビアなことが多いです。
CADオペレーターが作成する図面は、すべての始まりとなる重要な資料です。そのため納期を守れない方は、クライアントやプロジェクト関係者に迷惑をかけてしまいます。
決められた期日までに、クライアントの求めるクオリティで提出することは、CADオペレーターにとって最も重要なことです。CADオペレーターを目指す以上、納期などの「約束事」には敏感になりましょう。
三つ目は「勉強熱心な人」です。CADソフトはバージョンが変わるごとに進化していきます。使い勝手が異なり、今までになかった操作が可能になることも多々あります。
また、まったく新しいソフトが発売されて、時代の流れが変わることもあるでしょう。CADオペレーターは、業界の流れを察知してスキルを磨き続けなければなりません。だからこそ「勉強の姿勢」が大切です。一度身につけたスキルに執着せず、アップデートし続ける気持ちがある方は、CADオペレーターに向いている人です。
また四つ目は「パソコン作業が苦ではない人」です。CADオペレーターの仕事の8割はパソコンを使って行います。1日中パソコンに触れる日も少なくないからこそ、パソコン作業が苦ではない人にオススメです。
それに加え最近では、リモートワークの企業も増えてきています。どこにいても働きやすい職種なので、将来的にノマド生活や二拠点生活を検討している方にもピッタリな仕事です。
最後に五つ目は「ものづくりが好きな人」です。図面を書く以上、担当している業界や作図するものが「好きか」どうかは非常に重要になります。
CADオペレーターの仕事は、デザイナーの想いを汲み取り図面にすることです。そのためCADオペレーターは、デザイナー以上のこだわりをもって案件に接しなければなりません。「指示通りしか図面を書かない人」と「意思を汲み取って図面を描いてくれる人」では、CADオペレーターとしての価値が大きく異なります。立派なCADオペレーターになるためには「ものづくりに対する情熱」は必要不可欠なのです。
CADオペレーターは技術職だからこそ、CADスキルは重要です。しかしそれ以上に、仕事に対する思いや資質が問われる仕事でもあります。
とくに未経験者の方は実績がないからこそ、上記のようなポイントでアピールする必要がありますので、まずは自己分析を行い、ご自身の強みを言語化しましょう。
CADオペレーターは、未経験者でも十分に転職が望める仕事です。建設業や製造業などの分野で重宝されており、今後も高い需要があります。さらに、リモートワークもしやすい職業なので、プライベートとの両立もしやすいでしょう。
未経験者の場合は、まずCADに関する勉強を行い、実績を重ねることをオススメします。企業によっては未経験者に向けた教育カリキュラムが用意されているので、働きながらスキルを磨くとよいかもしれません。