2級建築施工管理技士とは?資格の概要や勉強法を解説
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試験内容
メリット
合格率

2級建築施工管理技士とは?資格の概要や勉強法を解説

2021年10月19日

施工管理は、建設現場の指揮をとる仕事です。その中でも、建築系の施工管理に転職する際には「建築施工管理技士」の資格を有していると、自分のスキルを企業へアピールすることができます。
建築施工管理技士の資格は難易度別に級が分かれており、2級建築施工管理技士は経験の浅い方でも挑戦しやすい資格となっています。
そこで今回は「2級建築施工管理技士」をテーマに、仕事内容や試験概要について紹介します。建築系の資格取得を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

2級建築施工管理技士とは

2級建築施工管理技士とは、建設業法で定められた「施工管理技術検定2級」の合格者を指します。これは国家資格の一つであり、一種のスキル証明になります。
また、2級建築施工管理技士になると、中規模工事の監督として現場に配置されます。無資格の施工管理者よりも質の高い現場経験を積むことができ、スキルアップやキャリアアップに効果的です。

そもそも施工管理の主な業務内容は、現場作業における「工程」「品質」「安全」「原価」の管理です。現場での立ち位置は「現場の指揮官」であり、特段資格を有していなくても施工管理になることができます。
しかし無資格者の場合、実際の現場では先輩や有資格者のサポート役といった位置付けになることが多いため、現場の総責任者になるには1級もしくは2級建築施工管理技士の資格保有が重要となります。

2級建築施工管理技士の資格を取得すると、「主任技術者」として現場配置が可能になります。

主任技術者とは、外注総額税込4000万円未満の元請業者や下請負に入る建設業者が、現場に配置しなければならない技術者のことです。無資格者よりも現場での役割が重いため、難易度の高い仕事が与えられるでしょう。
ちなみに1級建築施工管理技士になると、主任技術者に加えて「監理技術者」にもなることができます。これは外注総額税込4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)の現場の管理者で、大規模工事を担うことができます。
ただし、受験資格として3年以上※の実務経験が必要で、試験の難易度も高く設定されていますが、一方で2級の資格は1年以上の実務経験があれば受験可能です。
そのため、まだ経験の浅い方や無資格の施工管理者はまず「2級」の取得をオススメします。

※受験資格で必要となる実務経験は、最終学歴によって異なります。
 

2級建築施工管理技士の試験の特徴

2級建築施工管理技士の試験内容は「第一次検定(学科)」と「第二次検定(実地)」の2種類があり、これらの試験を合格することで建築施工管理技士になることができます。
そこで以下では、2級建築施工管理技士の第一次検定(学科)と第二次検定(実地)の特徴について解説します。試験の要点をおさえて、受験勉強を始めましょう。

試験概要

2級建築施工管理技士の試験概要は以下の通りです。「受験資格」が設けられているため、必ず確認しましょう。

-受験資格:実務経験1年以上
-試験回数:年2回(前期:学科のみ、後期:学科・実地)
-試験内容:学科試験・実地試験(後期受験であれば学科実地同時受験が可能)
-資格取得後:主任技術者として現場配置可能

受験資格は「最終学歴」によって異なります。指定学科の学部を卒業した方は実務経験1年以上ですが、その他の方は最終学歴によって必要経験年数が異なりますので、まずは受験資格を確認するようにしましょう。

 

第一次検定(学科)の特徴

2級建築施工管理技士の第一次検定(学科)では、以下の内容で行われます。

【試験時間】2時間30分
【解答形式】全問 四肢択一式
【出題数・解答数】出題数65問、うち40問を選択して解答
【合格基準】正答率60%以上
【出題傾向】下記の通り
・建築学(環境工学・構造力学・一般構造・建築材料・設備など)
・施工(施工かに関する全般的な知識)
・施工管理法(施工計画・工程計画、安全計画、品質計画)
・法規(建築基準法、建設業法、労働基準法、労働安全衛生法、その他法規)

問題の中には「必須問題」と「選択問題」があり、選択問題は自身の得意とする問題を選んで解答できます。つまり、試験中にわからない問題と遭遇しても避けることが可能です。
第一次検定(学科)では、業務内で普段使わない「非常に専門的な知識」が問われることもありますが、必ずしも解答しなければならないわけではありません。そのため必須回答となる項目を中心に試験対策を始めるようにしましょう。
なお、過去問を使用して勉強すると、試験の雰囲気や出題形式が把握できますので、受験前には過去問を使って対策することをオススメします。

 

第二次検定(実地)の特徴

2級建築施工管理技士の第二次検定(実地)では、以下の内容で行われます。
【試験時間】2時間
【解答形式】全問 記述形式
【出題数・解答数】出題数5問(全問必須)
【合格基準】正答率60%以上
【出題傾向】施工経験記述、施工用語、工程管理、法規

第二次検定(実地)はすべて記述方式です。そのため必要な用語や数値は暗記する必要があります。その中でも「施工経験記述」では、出題テーマに合わせご自身の経験を基に適切な説明を求められるため、数字や用語を使って詳細に回答するようにしましょう。
しかし、試験時間は2時間で限りがあります。そのため、まずは事前に大枠の内容を考えておくことをオススメします。また、事前に用意した答えを添削するスクールや勉強セミナーも増えていますので、これらを有効活用して勉強すると当日落ち着いて試験に挑めるでしょう。

 

2級建築施工管理技士の難易度と合格率

2級建築施工管理技士の資格は、1級と比較すると難易度は低く設定されています。しかし国家資格である以上、勉強していない方が合格できるほど簡単ではありません。
そこで以下では、2級建築施工管理技士の合格率と難易度について紹介します。

2級建築施工管理技士の合格率

2級建築施工管理技士の合格率は、CIC日本建築情報センターの情報によると第一次検定(学科)が37.9%(令和3年)で、第二次検定(実地)が28.2%(令和2年)となっています。
2級建築施工管理技士の合格率は決して高いとは言えません。施工管理技士の資格取得は狭き門ではないことを念頭に入れておきましょう。

 

2級建築施工管理技士の難易度

2級建築施工管理技士の資格は、独学の方も合格が十分に狙えるでしょう。そもそも2級建築施工管理技士の試験は、実務経験が1年以上ある方が対象となります。現場経験を積まれている方であれば、分からない部分を調べつつ試験勉強が可能です。
また、建築施工管理技士の資格は需要が高いので、資格取得のためのセミナーやスクールなども多数あります。独学が不安という方は、これらを活用しながら勉強してみましょう。
ただ、大切なのはスクールに頼りすぎず、ご自身でも入念に対策を行うことです。
とくに第二次検定(実地)はご自身の経験を記述する問題があります。今までの現場経験を思い出し、その経験をまとめる作業などが必要になることを覚えておきましょう。

 

2級建築施工管理技士試験の勉強方法

2級建築施工管理技士の試験に向けて、オススメの勉強法を紹介します。隙間時間を有効活用したい方や、独学で合格を狙う方は必見です。

参考書・過去問で勉強する

一つ目は「参考書」や「過去問」を使った勉強法です。試験対策を始める方は、まず参考書を購入し、インプットを積極的に行いましょう。

2級建築施工管理技士の試験ではふだん現場では使用しない専門用語なども問われます。まずはインプットを中心に行い、テキストの範囲が終わったら過去問を使って試験対策を行いましょう。
過去問は問題の傾向を知ることのできるツールなので、必ず目を通しておくことをオススメします。

 

苦手分野を集中的に勉強する

二つ目は「苦手分野の勉強」です。とくに第一次検定(学科)では特殊な用語の知識も問われます。所属する企業によっては専門外の場合も多く、現場経験値の高い方でも受験対策は必要です。そのため苦手だと感じる分野には時間をかけて、毎日反復して勉強しましょう。
中でも数値を問われる問題は間違いやすいので、確実に覚える必要があります。

 

動画を活用した勉強

三つ目は「動画を活用した勉強」です。試験対策となると上記のようにテキストや過去問が一般的ですが、最近ではYouTubeなどの動画教材も増えています。動画教材であれば講義形式で勉強が進められるため「テキストよりも継続しやすい」という方が多いです。
また、YouTubeには勉強法の他にもオススメのテキスト紹介や試験のコツなどを紹介しているチャンネルもありますので、受験対策の情報収集にも最適です。

 

模擬試験の受験

四つ目は「模擬試験の受験」です。実際の試験では、決められた時間内に一定以上の解答をしなければなりません。つまり時間配分を計算し、解答スピードを高める必要があるのです。
そのため、上記の勉強法を仕上げとして、模擬試験の挑戦をオススメします。

また、テキストの文章と実際の問題の文章は異なります。テスト形式で試験対策を行うと、受験時の緊張を和らげることができます。
試験対策スクールによっては外部受験者を受け入れている場合も多いので、試験対策の最終仕上げとして挑戦してみましょう。

 

2級建築施工管理技士を取得するメリット

最後に、2級建築施工管理技士の資格を取得するメリットを2つ紹介します。キャリアアップや転職を検討されている方は、ぜひ受験を検討してみるとよいでしょう。

主任技術者として働ける

「主任技術者」とは、元請・下請・請負金額に関係なく、請け負った全ての工事現場に配置しなければならない技術者です。
しかし、主任技術者になるためには国家資格または指定以上の経験年数が必要になります。とくに、若手施工管理者など実務経験が少ない方が主任技術者になるには「施工管理技士」の資格は必要不可欠と言えるでしょう。

 

様々な職場で働ける

2級建築施工管理技士の資格を取得すると、施工管理者として知識・スキルを有した人として判断されます。そのため自分が担当したかったクライアントや挑戦したい案件へチャレンジしやすくなるでしょう。
それだけでなく、資格を取得していると転職にも有利に働きます。給与やポジションなど、希望条件が通りやすくなることも十分にあります。施工管理技士として将来的なビジョンが明確な方は、早めに2級建築施工管理技士を受験しましょう。

 

まとめ

2級建築施工管理技士の資格を取得すると、主任技術者として現場に携わることができます。スキルアップはもちろんのこと、昇給や昇進のきっかけにもなるはずです。
またそれだけではなく、資格を取得すると作業員やクライアントからの信頼も高まります。施工管理者として経験を積みたい方や転職を検討されている方は、ぜひ資格取得も合わせて検討してみてはいかがでしょうか。

 

 


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