2021年10月6日
建設系の国家資格である、建設機械施工技士。これは建設現場において各種「建設機械」を使う際の現場管理者として取得しておくべき重要な資格です。
しかしふだん耳にしない言葉だからこそ「どんな仕事をしているか知りたい」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は「建設機械施工技士」について、詳しく解説します。建設系の資格を検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。
建設機械施工技士とは、一般社団法人日本建設機械施工協会が開催する「1級建設機械施工管理技術検定」もしくは「2級建設機械施工管理技術検定」の合格者のことです。これは国家資格のひとつで、建設現場において各種「建設機械」を使う際の現場管理者として重要な資格になります。この資格を有していると、各種建設機械を用いた施工における指導・監督として現場に携わることが出来ます。
また、1級の場合は「主任技術者」や「監理技術者」として、2級の場合は「主任技術者」として現場管理が可能です。
実際の業務内容は、工程管理から品質安全、さらにスケジュール調整など様々です。
建設機械施工技士は、正しい操作や安全な施工を行う知識をもった「エキスパート」として現場配置されることを意識しておきましょう。
なお1級と2級では難易度が異なるので、自分に経験にあったレベルの受験が可能です。
まず「2級建設機械施工技士」について、仕事内容や資格概要を解説します。
2級建設機械施工技士の仕事内容は、現場管理や指導、工事に伴う書類作成などです。これらの業務は無資格者でも携わることが出来ますが、2級を取得することで以下の権限が得られます。
・取得した種類の建設機械を扱う技術者に対して指導監督業務が可能
・主任技術者として現場配置可能
まず一つ目は「取得した種類の建設機械を扱う技術者に対して指導監督業務が可能」なことです。
2級では第1種から第6種までの建設機械の中から1つを選択して受験します。そこで合格した種類の建設機械においては、技術者に対して指導監督が可能となります。
また、複数受験も可能なのでスキルアップを目指す方は複数受験を検討してみるとよいでしょう。
そして二つ目は「主任技術者として現場配置が可能」なことです。
主任技術者とは「工事全体の管理者」として、技術面のスキルや・経験も兼ね備えた者を指します。学歴に基づく要件もありますが、2級建設機械施工技士の資格を取得すると「主任技術者」になることが可能です。
2級建設機械施工技士の資格概要は下記の通りです。
– 受験資格:実務経験※6ヶ月以上
– 試験回数:年2回(前期:学科・実地、後期:学科のみ)
– 試験内容:学科試験・実地試験(後期受験であれば学科実地同時受験が可能)
※実務経験は「最終学歴」によって異なります。詳しくはこちらをご覧ください。
試験内容は学科と実地の二部構成です。合格率は学科が40%前後、実地が80%前後と言われています。両試験ともに対策が必要になりますが、テキストが豊富にあるため独学でも十分に合格が狙えるでしょう。
【学科試験】
出題形式は四択肢一形式のマークシート方式で、出題された問題のうち正解率60%以上で合格となります。
共通問題は全30問中20問を選択して回答します。それに加えて試験種別問題(Ⅰ種~Ⅵ種まで選択式)もあり、これは20問中20問の必須回答です。
様々な分野から出題されるので、実務経験が豊富な方でもあまり耳にしない単語があるでしょう。テキストや過去問を使って、試験対策することをオススメします。
【実地試験】
実地試験では、所定コース内で操作施工が行われます。なお、試験で使用される参考建設機械は以下の通りです。
第1種:トラクター系建設機械操作施工法(ブルドーザー 6~12トン級)
第2種:ショベル系建設機械操作施工法(油圧ショベル 山積み0.28~0.45 立法メートル級)
第3種:モーター・グレーダー操作施工法(モーター・グレーダー 3.1メートル級)
第4種:締め固め建設機械操作施工法(ロード・ローラー 10~12トン級)
第5種:舗装用建設機械操作施工法(アスファルト・フィニッシャー 2.5~4.5メートル級)
第6種:基礎工事用建設機械操作施工法(アースオーガー 杭打機 40~50トン吊級)
続いて「1級建設機械施工技士」について、仕事内容や資格概要を解説します。
1級建設機械施工技士の仕事は、2級と同じく現場管理や指導がメインです。しかし2級よりも難易度の高い資格であるため、業務範囲が広がります。2級との違いは下記の通りです。
・各種建設機械を扱う技術者への指導監督業務が可能
・主任技術者だけでなく監理技術者として現場配置可能
まず一つ目は「各種建設機械を扱う技術者への指導監督業務が可能」なことです。
2級の場合は取得した種類の指導しか出来ませんが、1級の場合すべてが対象です。業務範囲が広い分、機械操作や施工に関する知識や経験が必要になります。
そして二つ目は「主任技術者だけでなく監理技術者として現場配置可能」なことです。
監理技術者とは、下請けの契約で請負代金が一定の額(合計4,000万円/建築一式工事の場合は6,000万円)以上の場合に配置しなければならない管理者のことを指します。大規模工事の責任者として活躍したい方は、必須の資格と言えるでしょう。
1級建設機械施工技士の資格概要は下記の通りです。
– 受験資格:実務経験※3年以上
– 試験回数:年1回
– 試験内容:学科試験・実地試験
※実務経験は「最終学歴」によって異なります。詳しくはこちらをご覧ください。
試験内容は2級と同じく、学科と実地の二部構成です。合格率は筆記が約25%前後、実地が60%前後とされています。学科・実地の筆記は同日に行い、実地の実技試験は別日に開催されます。
【学科試験】
出題形式は、四肢択一形式のマークシート方式で、出題された問題のうち60%以上の正答で合格となります。
出題数は50問あり、その中から40問を選んで回答します。試験内容は2級よりも幅広い知識が問われるため、建設機械の知識だけでなく法的な部分も押さえておきましょう。
とくに土木工学・建設機械・建設機械施工法・法規の分野は重要とされているので、反復して勉強することをオススメします。
【実地試験】
実地試験では、筆記と実技が試されます。筆記では経験記述1問と記述式問題1問が出題されます。制限時間内に、問題の回答を自身の経験を交えながら詳しく説明しなければなりませんので、事前に練習しておくと良いでしょう。
さらに実技試験では、実際に現場で使用する機械の操作知識が問われます。第1種から第6種までの建設機械の中から2つを選択し、技能を判断されます。
建設機械施工技士は、建設機械を扱う現場の管理者にとって重要な資格のひとつです。受験級によって権限が異なるので、描いているキャリアプランに合わせて受験すると良いでしょう。