建設業法とは?目的や注意点について解説
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建設業法とは?目的や注意点について解説

2021年9月7日

建設業界で業務を行う場合建設業法の規定に則り、主に以下のような多岐にわたる業務を進めます。
・建設業の許認可
・建設工事の請負契約
・請負契約に関する紛争処理
・建設業者の経営に関する事項の審査

そこで今回は、建設業法の概要や目的、禁止19されていること、違反した場合の罰則について解説します。

 

建設業法とは

建設業法は、1949年に制定された建設業の根幹となる法律です。規定されている内容は多岐にわたり、上記に挙げた項目以外にも以下のような項目があり、こちらの規定により建設業務を円滑に行えるようになっています。
・現場管理に関する規定
・書類等に関する規定
・下請け契約に関する規定


建設業許可を受けていない者が建設工事を行えないようにすることや、現場監督の不在により品質の悪い工事が行われるリスクを防御しています。
また、発注者は受注者よりも有利な立場になるため、受注者に不利な条件にて契約を強いられることを防止するため、「適正な見積依頼」などを規定しています。
下表の29種類の業種(建設業法別表第一)が、建設工事の完成を請負う場合に適用される法律です。

土木一式工事 建築一式工事 大工工事 左官工事 とび・土工・コンクリート工事
石工事 屋根工事 電気工事 管工事 タイル・れんが・ブロック工事
鋼構造物工事 鉄筋工事 舗装工事 しゅんせつ工事 板金工事
ガラス工事 塗装工事 防水工事 内装仕上工事 機械器具設置工事
熱絶縁工事 電気通信工事 造園工事 さく井工事 建具工事
水道施設工事 消防施設工事 清掃施設工事 解体工事

 

建設業法の目的

建設業法の目的は、建設業法第1条に謳われています。

建設業法第1条
この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

 
この法律文には、最初に2つの手段が記され、その後4つの目的が記されています。

 

2つの手段

・建設業を営む者の資質の向上
・建設工事の請負契約の適正化

 

4つの目的

・建設工事の適正な施工を確保
・発注者を保護
・建設業の健全な発達を促進
・公共の福祉の増進に寄与

究極の目的は、「公共の福祉の増進に寄与」する点です。
つまり、発注者に対して各種基準に適合した成果物を納品するために、不正行為(手抜き工事、ダンピング、他)などが行われることを防止し、社会インフラの構築に寄与する法律と言えるでしょう。
建設業法は、公共工事と民間工事の両方に適用されますが、500万円以下の工事を請け負っている会社は建設業許可が不要になります。また、建築一式工事の場合、1,500万円以下の工事を請け負っている会社も建設業許可が不要です。
さらに、建設工事に伴う調査業務や研究業務、資材購入、運搬業務などは建設工事に該当しません。

 

建設業法で禁止されていること

発注者・元請業者・下請業者の順に立場が弱くなる傾向にあります。
建設業法は、前記3者を対等にする目的があり、特に下記の事項は禁止されています。
・発注者が、受注者(元請業者)に対して工事代金の支払いを理由なく遅延
・元請業者から下請業者への過度に安い工事金額での発注
・元請業者から一括下請けの禁止
・工事やり直しの場合、受注者(元請業者・下請業者)に一方的に費用負担を強制
・販売会社を指定し、工事に要する資材・機械などの購入を強制

特に下請業者は弱い立場にあるため、下請業者を守るために上記の禁止事項を設定しています。
逆に、これらの禁止事項により建設工事の成果物の品質を著しく低下させるリスクを排除し、結果として発注者を守る側面もあります。

 

建設業法を違反した場合の罰則

建設業法の規定に違反すると、罰則が科せられます。罰則は重い順に、「懲役・罰金・過料」となります。
建設業法で規定された罰則を重い順に下記にします。

3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(建設業法47条)

・建設業許可を受けないで建設業を営んだ者(工事金額:500万円以上)
・元請業者として工事を請負した場合、特定建設業許可が必要な金額(総額:4,000万円、建築一式工事:6,000万円)以上の工事を特定建設業の許可を受けないで下請契約を締結した者
・営業停止処分に違反して建設業を営んだ者
・営業禁止処分に違反して建設業を営んだ者
・虚偽又は不正の事実に基づいて建設業許可を受けた者

 

6か月以下の懲役又は100万円以下の罰金(建設業法50条)

許可申請書、変更届、経営状況分析申請、経営規模等評価申請などの書類に、虚偽の記載をして提出した者などが該当します。

 

100万円以下の罰金(建設業法第52条)

・建設工事現場に主任技術者又は監理技術者を置かなかった者
・許可行政庁からの報告や資料提出の要請に応じない者、又は虚偽の報告をした者
・許可行政庁などの検査の拒否や妨害を行った者

 

10万円以下の過料(建設業法55条)

・廃業届の届け出を怠った者
・営業所や工事現場ごとに掲げる標識などの掲示義務に違反した者
・営業所に帳簿を備えず、帳簿に記載せず、もしくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿や図書を保存しなかった者

 

まとめ

以上、建設業法の概要や目的、禁止されていること、違反した場合の罰則について解説しました。
特に、建設工事の発注者・元請業者・下請業者間の禁止事項や罰則について触れましたが、建設業法の内容を把握し、違反をしない心がけが重要です。
建設業法を理解して、建設工事現場の管理を円滑に進めていくことをオススメします。

 

 


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