2021年8月6日
管工事は、建築物や土木構造物などを問わず必ず付随する工事のため、管工事施工管理技士は非常に需要の高い資格となります。
そこで今回は、管工事施工管理技士の概要や仕事内容、受験資格、資格を取得するメリットについて解説します。
管工事施工管理技士の資格を取得することで、自身にとっても勤務する会社にとっても大きなメリットとなるため、資格取得を検討されている方はぜひ最後までご覧ください。
管工事施工管理技士は、「建設業法」第27条に基づき、国土交通大臣の指定機関が実施する国家資格です。
管工事施工管理技士は、配管工事のスペシャリストとして認定される資格です。実務経験として認められる管工事の種類を挙げると下表の通りになります。
冷暖房設備工事 | 冷凍冷蔵設備工事 | 空気調和設備工事 | 換気設備工事 |
給排水・給湯設備工事 | 厨房設備工事 | 衛生器具設備工事 | 浄化槽設備工事 |
ガス管配管設備工事 | 管内更生工事 | 消火設備工事 | 配水支管工事 |
下水道配管工事 | - | - | - |
管工事施工管理技士には、1級と2級があります。「建設業法」第27条第2項にもあるように、試験は1級と2級ともに「第一次検定(学科試験)」と「第二次検定(実地試験)」があります。
1級は第一次検定と第二次検定が別の日となりますが、2級は同日に受験可能です。
また、合格基準は1級、2級ともに第一次検定と第二次検定においてそれぞれ「総得点の60%以上」となります。
管工事施工管理技士は、建設現場において配管計画の作成や施工管理(工程・品質・原価・安全・環境)を行います。
万が一配管ミスが生じた場合、重大問題になりかねないため、ミスを起こさないように指導・監督を徹底し、事故が起きないように環境整備にも注力します。
また、1級有資格者と2級有資格者は、一般的に建設工事規模により分類されます。
・1級有資格者:大規模な建設工事現場
・2級有資格者:中小規模の建設工事現場
1級・2級管工事施工管理技士を取得するには受験資格が必要になります。誰でも受験可能な資格ではありませんが、2021年4月より受験資格が緩和されました。
1級管工事施工管理技士を受験する場合、2級管工事施工管理技士の第二次検定合格後の翌年から1級の第一次検定に限り受験可能となりました。その後、実務経験の条件を満たした段階で第二次検定を受験することができます。
また、2021年4月より1級の第一次検定合格者には新しく「技士補」の資格が付与されるようになりました。技士補になると第一次検定が免除され、第二次検定が何度でも受験可能となっています。
1級管工事施工管理技士の第一次検定の受験資格は、下記の実務経験年数が必要となります。
学歴 | 実務経験年数 | |
---|---|---|
指定学科※1卒業後 | 指定学科※1以外卒業後 | |
大学 専門学校「高度専門士」 |
3年以上 | 4年6か月以上 |
短期大学 高等専門学校 専門学校「専門士」 |
5年以上 | 7年6か月以上 |
高等学校 中等教育学校 専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く) |
10年以上 | 11年6か月以上 |
その他 | 15年以上 |
※1:土木工学・都市工学・衛生工学・電気工学・電気通信工学・機械工学・憲徳学に関する学科
区分 | 学歴 | 実務経験年数 | |
---|---|---|---|
指定学科卒業後 | 指定学科以外卒業後 | ||
2級合格後 の実務経験 |
- | 5年以上(第一次検定のみの受験の場合、実務経験は問いません) | |
2級合格後 5年未満の者 |
高等学校 専門学校(「高度専門士」「専門士」) |
9年以上 | 10年6か月以上 |
その他 | 14年以上 |
区分 | 学歴 | 実務経験年数 | |
---|---|---|---|
指定学科卒業後 | 指定学科以外卒業後 | ||
2級合格後 の実務経験 |
- | 3年以上※2 | |
2級合格後 3年未満の者 |
短期大学 高等専門学校 専門学校「専門士」 |
- | 7年以上 |
高等学校 専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く) |
7年以上 | 8年6か月以上 | |
その他 | 12年以上 | ||
2級管工事の 資格の無い者 |
高等学校 専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く) |
8年以上 | 11年以上 |
その他 | 13年以上 |
※2:合格後1年以上の専任の主任技術者実務経験を含む
区分 | 学歴 | 実務経験年数 | |
---|---|---|---|
指定学科卒業後 | 指定学科以外卒業後 | ||
2級合格後の 実務経験年数 |
- | 3年以上 | |
2級管工事の 資格のない者 |
高等学校 専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く) |
8年以上 | - |
「職業能力開発促進法」第44条第1項の規定による技能検定のうち、検定職種を1級の配管とするものに合格した者であって、管工事施工に関し、指導監督的実務経験1年以上を含む10年以上の実務経験を有する者。
2級管工事施工管理技士の第1次検定の受験資格は、下記の実務経験年数が必要となります。
学歴 | 実務経験年数 | |
---|---|---|
指定学科卒業後 | 指定学科以外卒業後 | |
大学 専門学校「高度専門士」 |
1年以上 | 1年6か月以上 |
短期大学 高等専門学校 専門学校「専門士」 |
2年以上 | 3年以上 |
高等学校 専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く) |
3年以上 | 4年6か月以上 |
その他 | 8年以上 |
「職業能力開発促進法」第44条第1項の規定による技能検定のうち、
・1級の配管(選択科目を「建築配管作業」とするものに限る)に合格した者
・2級の配管に合格した者
であって、管工事施工に関し4年以上の実務経験を有する者
管工事施工管理技士の資格を取得することにより大きなメリットを得ることができるため、管工事施工管理者にとっては必要不可欠な資格と言えます。
そこで、管工事施工管理技士の資格を取得することによる主なメリットについて詳しく解説していきます。
管工事施工管理技士を取得すると、以下に認定されます。
・1級有資格者の場合:「監理技術者」
・2級有資格者の場合:「主任技術者」
「監理技術者」は、特定建設業者が元請として4,000万円(建築一式工事の場合、6,000万円)以上の下請契約を行った場合、建設現場ごとに配置されます。
「主任技術者」は、監理技術者が必要な建設現場以外の全ての工事において配置されます。
管工事施工管理技士を取得すると、経審の技術力審査において資格者1人当たりに決められた点数が加算されます。
保有資格 | 得点 | |
---|---|---|
1級有資格者 | 5 | |
監理技術者資格証を有し、講習を受講している場合 | 6 | |
1級管工事施工管理技士補(1級第一次検定合格者)の場合 | 4 | |
2級有資格者 | 2 |
企業得点は、公共工事入札の場合に企業の技術力として評価されます。企業得点が大きくなると、経営規模評価に寄与することとなります。
このように、管工事施工管理技士の有資格者を雇用することは企業としても大きなメリットとなるため、昇給・昇進に対しても有利にはたらきます。
管工事は、オフィスビルや商業施設・マンションなど、全ての建築物に付随する設備工事です。そのため、管工事施工管理技士に対する需要は高いと言えます。
建設現場は年々、高度化・多様化・複雑化しており、管工事においても例外ではありません。
それらの工事に対応できる管工事施工管理技士は、建設会社や設備会社にとっては貴重な人材となるため、キャリアアップや転職などにも有利にはたらきます。
管工事施工管理技士の資格を保有することで、建築設備士、社会保険労務士、浄化槽設備士、給水装置主任技術者など他の資格取得にも有利にはたらきます。
1級管工事施工管理技士を取得後、実務経験を2年以上積むと建築設備士の受験資格を得ることができます。
建築設備士は建築士にアドバイスできる上位資格となりますので、1級管工事施工管理技士の資格を保有されている方はぜひ取得を目指すと良いでしょう。
1級もしくは2級管工事施工管理技士を取得すると、社会保険労務士の受験資格を得ることができます。
浄化槽設備士は、し尿・雑排水の浄化槽設備において、営業所ごとに配置する規定のある資格です。
1級もしくは2級管工事施工管理技士を取得すると講習会受講の権利が得られ、受講後に免許申請を行うことで国土交通大臣から「浄化槽設備士免状」が交付されます。
給水装置主任技術者は、水道管の配置や改造・修繕などの工事に必要となる資格です。
1級もしくは2級管工事施工管理技士を取得すると2つの試験科目(給水装置の概要、給水装置施工管理法)が免除となり、一般受験者よりも有利になります。
以上、管工事施工管理技士の概要や仕事内容、受験資格、資格を取得するメリットについて解説しました。
管工事施工管理技士は、建設工事規模が大型化するほど、必要となる人材です。また、公共工事受注を図る企業にとっては、有資格者の人数が多いほど経審における企業技術得点がアップするため、競争入札に有利にはたらきます。
自身にとっても、スキルアップやキャリアアップに役立つ資格となりますので、管工事施工管理技士の資格取得を目指すことをオススメします。