2021年6月1日
工事現場では様々なルールに準じて人員を配置しており、その中でも技術者を配置することは施工業者の義務となっています。
技術者には「監理技術者」や「主任技術者」などの種類があり、その中でも主任技術者は現場に必ず1名以上配置しなければならない技術者を指します。
そこで本記事では、主任技術者の要件や主任技術者に必要な資格について解説します。建設関係者や建設業界へ転職を希望されている方は必見です。
主任技術者とは、元請・下請、請負金額に関わらず、請け負った全ての工事について現場に配置しなければならない技術者を指します。これは工事現場における建設工事を適正に実施することを目的としており、主任技術者は施工に従事する業者の指導監督の職務を誠実に行う役割を担っています。
業務内容は主に施工計画の作成、工程管理、品質管理、その他の技術上の管理で、現場を取りまとめる監督として重要な存在となっています。
主任技術者は原則、現場に1名配置しなければいけませんが、主任技術者の上位技術者にあたる監理技術者が配置されている現場のみ、主任技術者を配置しなくてもよいとされています。
監理技術者は主任技術者の権限も有しているため、主任技術者よりも幅広く業務を行うことができるため、主任技術者の資格を手に入れたあとは、この監理技術者の資格にも挑戦するとよいでしょう。
主任技術者は現場を取りまとめる重要な役割を担っています。そのため以下の基準を満たした人のみが主任技術者として現場を担当できます。
1)1級または2級の国家資格保有者
2)指定学科の卒業+実務経験
3)実務経験10年以上
4)大臣の特別認定者(海外での学歴や実務経験)
要件の一つ目が「国家資格保有者」です。建築士や施工管理技士のように建設系の国家資格を取得している方は主任技術者として現場を管理することができます。
また、二つ目の「指定学科に加え、ある一定の実務経験を有している方」も主任技術者になることができます。これらの条件に関しては後ほど詳しく解説します。
その他にも三つ目の「実務経験10年以上のベテラン管理者」や四つ目の「大臣の特別認定者」の場合はその実績によって主任技術者としての現場監督が可能となっています。
主任技術者の資格要件は、最終学歴や実務経験によって異なります。
1.高等学校の指定学科卒業後 5年以上
2.高等専門学校の指定学科卒業後 3年以上
3.大学の指定学科卒業後 3年以上
4.上記1~3以外の学歴の場合 10年以上
基本的に指定学科の卒業でない場合は10年以上の実務経験が必要ですが、1〜3のように最終学歴が指定学科の場合は、3〜5年の経験で主任技術者になることができます。
主任技術者になると現場の責任者として様々な業務を担当します。ときには予定と異なる事態に臨機応変に対応しなければならないため、専門的な知識に加えて、現場監督としての経験は重要なのです。
しかしながら指定学科以外卒業の現場監督者の場合、主任技術者になるためには多大な時間を要します。指定学科以外で早く主任技術者になりたいという方は、この次に紹介する「資格取得」で主任技術者を目指すとよいでしょう。
なお、指定学科の学歴に関しては以下よりご覧いただけます。
参考:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000085.html
上記で説明した学歴や実務経験の要件は、資格取得までに時間がかかるという難点があります。
そこで以下では学歴や実務経験以外での主任技術者になる方法を紹介します。
– 1・2級建築士
– 1・2級施工管理技士
– その他国家資格
このような資格を有している方は、主任技術者としての現場監督が可能です。
主に主力の資格は建築士と施工管理技士です。1・2級いずれかの資格を有していると、学歴や経験年数が不足していても主任技術者になることができます。これは、国が定める基準値を超える知識や経験を有しており、主任技術者として十分な人材であるということが資格によって証明されているからです。さらに1級の資格保有者の場合、主任技術者の上位管理者である監理技術者になることもできます。
これらの資格を有していると、携われる工事の幅が広がるので、現場監督者はぜひ資格を取得することをオススメします。
参考:https://yoshimotok-office.com/syunin-kanri-gijutsusya-shikaku/#12
続いて、主任技術者の業務内容についてご紹介します。主任技術者の主な業務内容は以下になります。
– 工事現場の監督
– 施工計画の作成
– 工事スケジュールの調整
– クライアントや協力業者との打ち合わせ
– 品質チェック
– 工事予算の管理
– 現場の詳細図面の作成
– 工事書類の作成 など
主任技術者の業務は「現場に関係する全ての仕事」になります。現場の安全管理はもちろんのこと、品質チェックや工事スケジュールの調整なども行います。ときには施主にあたるクライアントや他現場の管理者との打ち合わせなども仕事のひとつです。
現場によっては図面作成や発注物の作図なども主任技術者が担当する場合もあり、これに加え工事書類の作成や、工事金額の調整なども行う必要があるので、主任技術者は多忙な役割を担っています。
このようにあらゆる仕事を担当するためには、幅広い知識と経験、さらには人脈が重要になるため、困ったときに頼れる協力会社や社内パートナーは、主任技術者にとって大切な存在となるでしょう。
また、場合によっては後輩管理者の指導を行うこともあるため、現場に関わるすべての人の管理が主任技術者の役割です。
主任技術者の資格を取得するためには、様々な要件を満たす必要があります。その上で主任技術者として現場で活躍するには、以下のポイントを意識する必要があります。主任技術者を目指す方はぜひ以下のポイントを押さえて仕事をすると良いでしょう。
まず一つ目は「現場経験」です。主任技術者は現場のリーダーだからこそ、現場で緊急事態が発生した際には迅速に対処する能力が必要になります。この判断能力を鍛えるためには、現場で様々な経験を積むことが重要です。
そのときどきのシチュエーションに合わせて正解を想像しつつ、先輩や職人さんがどのような判断をして、どう対処しているかを観察しましょう。そうすることで主任技術者としての判断力は少しずつ養われていきます。
二つ目は「資格取得の勉強」です。主任技術者になって様々な現場に関わりたい方は、あわせて国家資格の取得をオススメします。とくに若手管理者で指定学科以外を卒業している方は、主任技術者になるまでにどうしても時間がかかるため、資格取得の勉強をして少しでも早く主任技術者を目指すと良いでしょう。
また、建築士や施工管理技士の資格は転職や社内でのステップアップに有利に働きますので、将来のことを見据えて自己研鑽することをオススメします。
そして三つ目は「積極的に現場に携わる」ことです。主任技術者となると現場全体のことを見渡して指示をしなければなりません。だからこそ主任技術者になる前に、現場の雑務や細かな作業を把握して、細かい部分に気が付く練習をしましょう。
現場のイロハを知らないまま主任技術者になってしまうと、職人や若手社員とコミュニケーションが取れない技術者となってしまいます。自分がリーダーになる前に、まずは雑務を積極的に行って、現場の細かい部分を理解しておくとよいでしょう。
現在、主任技術者や監理技術者は現場に不足している人材です。そのため転職活動を検討中の方で主任技術者の資格を有している場合は、条件交渉などが有利に働くこともあります。
さらに、建築士や施工管理技士の資格を有していると、より自分の興味のある企業へ近づくことができるため、資格取得でお悩みの方はぜひ挑戦することをオススメします。