これからの建築CADに必須のBIMとは?概要やメリット、おすすめのソフトを紹介
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これからの建築CADに必須のBIMとは?概要やメリット、おすすめのソフトを紹介

2021年1月15日

現在の建設業界では、AutoCADやVectorworks、SketchUPなどのソフトを使った二次元・三次元図面が主流です。
近年ではこれらのソフトに加え、「BIM」という新しい設計ソフトが利用され始めています。このBIMは、従来のソフトとは異なる概念をもつ設計ソフトであり、今後の建築設計において必須スキルになると言われています。

当記事ではBIMを利用したことのない方に向けて、BIMの概要や活用するメリット、おすすめのソフトなどを紹介します。建築設計業務に携わっている方や、建設関係の仕事に携わる予定の方は是非最後までご覧ください。

 


 

BIMとは?

BIMとは、Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)の略称です。コンピューター上に現実と同じ建物の立体モデルを再現し、設計作業を円滑に行うソリューションのことを指します。BIMを使って設計された三次元の建物のデジタルモデルは、建物を形作る「形状情報」と、そのものがどんな構造なのかという「属性情報」を盛り込み作図をしていきます。

従来、三次元のモデリングはパースなどイメージ図として利用されていました。しかしBIMを実現するソフトを使用することで、三次元モデルをベースに施工検討が可能となり、二次元モデルよりも構造の全容や形状の詳細などが把握しやすくなったのです。
これは設計者と施工者のコミュニケーションがより円滑になることと、さらには建築ワークフローがよりスムーズになることを意味します。そして、設計者・施工者両方における業務の効率化や、建築デザインのイノベーションなどが期待できる画期的なワークフローであると言えるでしょう。そのため近年では、数々の設計事務所やゼネコンなどで取り入れられています。

 

従来の3DCADとの違い

従来の3D CADの場合、まず二次元の図面を作成してから三次元の形状を組み立て、CGなどでシミュレーションするという流れで作成します。つまり、三次元の形状を組み立てる前に、二次元で図面を完成させる必要があるのです。
一方でBIMを実現するソフトで設計された図面の場合、一番先に三次元の図面作成から始まります。この三次元の図面データをもとに、必要箇所を切り取り二次元図面が出来上がるという流れになるため、全ての図面のベースは三次元になります。

従来のやり方で図面修正が発生した場合、二次元データと三次元データの両方を修正する必要がありましたが、一方でBIMの場合は三次元データを修正するだけで二次元データも自動的に修正されるため、図面修正者の手間を減らすだけでなく、間違いの少ない整合性の取れた図面が完成することから、近年非常に注目されているソリューションなのです。

 

作業の流れ

 
BIMソフトを使用した作業の流れは下記の通りです。

① 3Dモデルの構築

まずは構造的に必要な建築要素を組み合わせ、3Dモデルを構築します。この過程には寸法や素材の品番、材料の単価など様々な情報が加えられていきます。

 

② 必要図面の作成

3Dモデルの作成後、平面図・立体図・配置図など必要な箇所を切り取っていきます。基本的に①で作成されたデータをもとに作成されるため、従来のようにゼロから作成する手間が省けます。

 

③ 集計表の作成

建物の面積などを集計した表を作成します。

 

④ 設計図面の作成

②で作成した図面を図面枠用のシートに貼りつけてまとめます。

 

 
BIMの作業工程は非常にシンプルなので、操作に慣れてしまえば従来の作業の手間を大きく削減できるでしょう。

 

活用のメリット

BIMには他のCADにはない下記のような3つのメリットがあります。

図面精度の向上

従来の二次元CADでは、図面を別々に作成し、それらの整合性が取れているか確認する必要がありました。さらに修正が発生した際には図面ごとに修正を加える必要があり、図面作成に時間と労力が必要でした。
しかしBIMの場合、三次元図面を作成すればその他の必要図面は大元とリンクしているため、1枚ずつ図面を書く必要がありません。それに加えて図面修正も大元を直すだけで該当箇所が紐付いて修正されるため、修正の漏れ防止や作業時間短縮が大きく期待できます。

 

建築確認申請に対する手間の削減

建築確認申請とは、建築士の設計が各種法令や規定類に適合しているか着工前に審査する行政行為のことで、この申請は原則、紙の図面をもとに行われています。
他国ではBIMを使ったオンラインの確認申請が主流であり、日本でも2015年からBIMによる確認申請が徐々に開始されています。BIMでのオンライン確認申請が可能になると、申請のために必要であった資料準備や行政機関への訪問などの手間が削減されるため、設計者の負担を軽減することができます。

 

二次元よりも直感的に修正が可能(見落としが少ない)

三次元の図面の場合、建物の全体像や構造、設備などが一目で把握できます。そのため二次元の図面よりも設計上の矛盾に気が付きやすく、問題点のあぶり出しが容易になります。従来のように平面・展開・天井伏・設備などあらゆる図面を見比べていたのが、三次元図面があるだけで全体像が把握しやすくなり、直感的に修正が可能となるのです。

 
しかしながらBIMは今までのCADソフトとは異なる操作であるため、まだ操作できる人材が少なく、導入するためのコストがかかるという難点があります。
現在の利用状況としては、大手設計事務所や大手ゼネコンから積極的に導入を開始しています。

 

おすすめのBIMソフト

 
残念ながらBIMを無料で使用できるソフトはないため、長期的に利用する場合はライセンスの取得が必須となりますが、BIMソフトの中には体験版や学生版などを提供しているソフトがあるので探してみると良いでしょう。
以下ではおすすめのBIMソフトについて紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

Autodesk Revit

Autodesk Revitは、AutoCADで知られるAutodesk(オートデスク)社の開発するBIMソフトです。
適応業務は、建築設計・構造エンジニアリング・機械・電気・配管および建築施工と幅広く対応しています。また、Revitにはクラウド機能がついているため、チームでデータを共有しながら作業することが可能です。

 

GLOOBE

GLOOBEは、福井コンピュータアーキテクト株式会社という日本の会社が提供するBIMソフトです。そのため日本の設計手法や建築基準法に対応しており、円滑に設計業務を行うことができます。
日本仕様の建材データや自由度の高いデザイン機能が搭載されているため、国内におけるBIM設計に最適なソフトです。

 

ARCHICAD

ARCHICADは、ハンガリーのGRAPHISOFT(グラフィソフト)社が開発・提供するBIMソフトウェアです。このソフトの特徴は、レイヤーの概念を残した設計ソフトという点。つまりAutoCADなどの一般的な2D・3DCADソフトと近い感覚で作業を行うことが可能です。

 

まとめ

BIMとは、従来の設計プロセスを大きく変える画期的な設計ソフトであり、今後さらなる需要が予測できます。また、BIMを使用した設計は建設業界だけでなく行政側にも大きなメリットをもたらすため、いずれBIMソフトを使った三次元図面が主流となる日がくるかもしれません。
BIMソフトは今までの設計における手間を削減できる新しいソリューションであるため、BIMソフトを扱うスキルはこれからの建設業界で必須のスキルとなるでしょう。

 

 


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