2021年1月9日
建設需要が高まる近年、都市部や郊外のいたるところで商業施設の開発や高層ビルの建設が行われています。
建設現場ではあらゆる道具が使用されていますが、その中でも作業効率をアップさせ、作業範囲を拡大させるため重宝されているものこそ「建設機械」です。
しかし、建設機械の扱いには様々な知識や経験が必要で、それらが不足していると作業員の命に関わる事態を招きかねません。そこで重要なのが国家資格者である「建設機械施工技士」の存在です。
当記事では建設機械施工技士の概要や重要性、1級建設機械施工技士の試験内容や資格取得方法などについて、詳しく解説します。
建設機械施工技士とは、国家資格である”施工管理技士”の資格のうちの一つで、建設現場において各種建設機械を使って施工する際の管理者を指します。主に、建設機械を使った工事に関する施工計画や、施工管理・工程管理・品質管理・安全管理などの現場管理に携わります。
建設機械施工技士になるためには、国家資格である1級建設機械施工技士もしくは2級建設機械施工技士の資格を取得する必要があります。その中でも1級建設機械施工技士の資格を取得すると、各種建設機械を用いた施工における指導や監督としての業務に携わることができ、主任技術者や監理技術者として現場管理を行うことができます。
また、2級建設機械施工技士の場合は機械の種類に応じて受験することができるため、自身が取得した種類の建設機械の指導や監督業務を行うことが可能となっています。
どちらの資格も建設機械を用いる現場では重宝される資格であり、取得することでキャリアアップを図ることができるでしょう。
建設機械施工技士の資格を有したものは、建設業界の中でも重機を用いた作業が多く、活躍の幅が広くある土木関係の会社にて重宝されます。
とくに近年では都市部だけでなく郊外でも開発が進み、建設の需要は年々高まっています。大規模な工事になればなるほど重機の必要性は高まり、その専門性が求められるでしょう。
1級もしくは2級建設機械施工技士の資格を有していると、建設機械に関する知識があることが認められるため、大きな案件を任されるチャンスが訪れるはずです。
また有資格者の場合、転職の際にも有利になります。給与面の交渉もしやすく、即戦力としても認識されるため、建設機械を使う施工管理者や土木系の業界でステップアップをしたい方はぜひ取得するべき資格と言えるでしょう。
1級建設機械施工技士になるためには、一般財団法人全国建設研修センターが行う「1級建設機械施工技術検定試験」に合格しなければなりません。1級建設機械施工技士の受験資格は下記の通りです。
以下のいずれかに該当する者
学歴 | 受験に必要な実務経験年数 | |||
---|---|---|---|---|
指導監督的実務経験を1年以上含んでいる場合 | 専任の主任技術者として実務経験を1年以上含んでいる場合 | |||
指定学科卒業後 | 指定学科以外卒業後 | |||
大学 専門学校「高度専門士」 |
3年以上 | 4年6ヶ月以上 | 3年以上 | 4年6ヶ月以上 |
短期大学 高等学校 専門学校「専門士」 |
5年以上 | 7年6ヶ月以上 | 5年以上 | 7年6ヶ月以上 |
高等学校 中学教育学校 専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く) |
10年以上 | 11年6ヶ月以上 | 8年以上 | 9年6ヶ月以上 |
その他 | 15年以上 | 13年以上 |
学歴 | 受験に必要な実務経験年数 | |
---|---|---|
指定学科卒業後 | 指定学科以外卒業後 | |
高等学校 専門学校(「高度専門士」「専門士」を除く) |
8年以上 | 9年以上 |
その他 | 12年以上 |
試験内容は、「第1次検定」と「第2次検定」の二部構成で、第2次検定では筆記試験に加え実技試験も行います。第1次・第2次の筆記は同日に行い、実技試験は別日に開催されます。
四肢択一式:2時間25分
出題形式はマークシート方式で、出題数50問の中から40問を選択し解答します。解答数40問のうち、正解率60%(24問)以上にて合格となります。
試験内容は土木工学・建設機械原動機・石油燃料・潤滑剤・建設機械・建設機械施工法・法規の7分野の中から一般知識が出題され、中でも重要なのが土木工学・建設機械・建設機械施工法・法規になります。これらが出題数の40問以上を占めており、この4分野の出来によって合否が分かれると言えるでしょう。建設機械や土木に関する知識だけでなく、施工を行う際に必要な法規知識も試される試験であるため、実務経験の長い方でも試験対策が必須となります。
記述式(筆記試験):1時間
第2次検定の筆記試験はすべて記述式で解答が求められ、第1次検定とは異なり文字や数字で簡潔に解答する必要があります。経験記述1問と記述式問題1問にて構成されており、正解率60%以上で合格となります。
また、1級建設機械施工技士の第2次検定では実技試験も用意されており、実際に建設現場で使用する機械の操作知識が試されます。
実技試験では以下の中から2種類選択し受験します。
第1種:トラクター系建設機械操作施工法(ブルドーザー 6~12トン級)
第2種:ショベル系建設機械操作施工法(油圧ショベル 山積み0.28~0.45 立法メートル級)
第3種:モーター・グレーダー操作施工法(モーター・グレーダー 3.1メートル級)
第4種:締め固め建設機械操作施工法(ロード・ローラー 10~12トン級)
第5種:舗装用建設機械操作施工法(アスファルト・フィニッシャー 2.5~4.5メートル級)
第6種:基礎工事用建設機械操作施工法(アースオーガー 杭打機 40~50トン吊級)
1級建設機械施工技士の合格率は、下記の通りです。
第1次:25.0%、第2次:63.8%
引用元:資格の王道 建設機械施工技士
1級建設機械施工技士の第1次検定は合格率が低いものの、第1次検定をクリアすれば第2次検定の合格率は高い傾向にあります。これは、第2次検定の方が現場で培ってきた実務経験が試されるからであると言えるでしょう。
令和3年度の1級建設機械施工技士の試験日程は下記の通りになります。
令和3年2月15日(月)~3月31日(水)
令和3年6月20日(日)
令和3年8月下旬~9月中旬
※令和2年度の学科試験を合格された方の実技試験は、令和3年8月から9月に「第二次検定(実技)」として実施予定です。
令和3年8月4日(水)
令和3年11月18日(木)
難易度の高い1級建設機械施工技士を取得するためには、いかに筆記試験の対策をするかどうかが鍵となります。勉強法として有力なのが、下記2つの方法です。
・通信講座を利用
・ネット動画や市販教材を利用して独学
資格取得のスクールに通えば講師の指導のもとでテキスト解説や過去問を用いた試験対策ができますが、建設業界で働く方にとってはなかなか通いづらいのが現実と言えるでしょう。
上記2つの方法を活用することでご自身の空いた時間を有効活用することができ、自分のペースで学習することができます。合格難易度は上がりますが、実務経験を重ねている方であれば独学でも理解を深めることができるでしょう。
なかなかスクールに通う時間が作れないという方は、試験日から逆算してご自身の勉強スケジュールを計画し、上記の方法で勉強することをおすすめします。
建設機械施工技士は土木関連の会社では特に重要視されている資格であり、中でも1級建設機械施工技士の資格保有者は重宝される存在です。
大規模案件の責任者として現場に携わりたい方や、さらにステップアップを図りたい方はぜひ挑戦すべき資格と言えますが、上記で紹介した通り、建設機械施工技士はまず経験年数が問われる資格です。だからこそまずは実務経験を重ね、その上で自分なりに試験対策を始めることが大切です。